暮らしほっとワークweb版
  • コンテンツ

2022.11.15

車椅子で蓋を開けられる足踏み式ペダル付きゴミ箱の製作

車椅子で蓋を開けられる足踏み式ペダル付きゴミ箱の製作  名古屋市障害者スポーツセンター職員から「車椅子の利用者が自分でゴミ箱を開けて捨てられるようにできませんか。 」と相談がありました。 そのゴミ箱は足踏み式で、ペダルを踏むと蓋が開くものでした。 これまでは職員にゴミを捨ててもらったり、手で蓋を開けて捨てていたそうですが、コロナ禍なので、使い終わったウェットティッシュや他のゴミを自分で捨てたいし、感染防止のため、蓋を触ることなく開閉したいそうです。  そこで、このゴミ箱のペダルを車椅子の前輪キャスターで踏んで蓋を開けることができるよう工夫して製作することにしました。 材料リスト プレート(290mm×90mm×3mmアルミ製)) 1枚 延長棒(5φ×140mm鉄製)) 1本 アルミパイプ(7φ×90mm)) 1本 留め具) 2個 固定ネジ(M3)) 6か所 材料費 2,000円程度 作り方  アルミ製のプレートを車椅子の前輪キャスターが乗る面積に切断し、ヤスリで角を落とします。 ペダル裏から蓋へつながる棒を延長するために延長棒を溶接します。 アルミ製のプレートへ、留め具のためにネジ穴を6か所開け、延長した棒にアルミパイプをかぶせて、そこへ留め具を使って固定します。 取り付けたプレートを踏むと蓋が開く 使用の様子 工夫した点と使い方  車椅子の前輪キャスターで足踏み式のペダルを踏むために、アルミ製プレートの面積を増やすことはすぐに思いついたのですが、固定方法を決めるまで悩みました。 ペダルの裏には、蓋までつながっているリンク機構の棒(シャフト)があり、それを足で踏むと蓋が開く仕組みでした。 ペダルの面積を増やすため、その上に板を取り付けて足で踏んでみましたが、うまく蓋が開きません。 そこでボランティアの協力で、直接力がかかるようにシャフトを延長して、ペダルの代わりとなるプレートを固定しました。 シャフトの延長はネジ止めでは継続的な負荷でズレてしまうため、溶接しています。 なお、踏む面積を増やせばよいのではなく、プレートの消毒や掃除のしやすさを考慮して材料を選びました。  使う時にはゴミ箱のあるところまで車椅子で近づき、前輪キャスターでプレートを踏み、蓋を開けて衛生的にゴミを捨てることができるようになりました。 なごや福祉用具プラザでは福祉用具の製作・改造を通じて、ご本人やご家族等の生活を豊かにするお手伝いをします。 お気軽にご相談ください。

2022.7.13

お尻ふき用自助具の製作

お尻ふき用自助具の製作  70代男性、脳性麻痺(身体障害者手帳2級、要介護3)の方から「お尻をふく道具が欲しい。 」と相談がありました。  本人はトイレへ行き用を足しますが、円背が顕著なため、両手が腰より後ろには回らずお尻に手が届かないそうです。 家ではシャワートイレを使っていますが、乾燥に時間がかかるので、早くふき取る道具はないかとのことでした。  そこで、市販のリーチャーを参考にお尻ふきの自助具を製作することにしました。 材料リスト アルミ角パイプ(15mm×15mm) 1本 亜鉛鉄板(0.5mm厚) 2枚 固定ネジ(M3) 4か所 材料費 300円程度 作り方  木材をSの字に切断し、ヤスリで角を落とします。 透明アクリル板へ熱を加えて柔らかくして、への字に曲げます。 この板にネジ用の穴を2か所開けます。  また、木材に髪留めを固定するための穴を2か所開けます。 木材と髪留め、および髪留めと透明アクリル板をネジで固定します。 お尻ふきの外観 自助具にトイレットペーパーを巻き付けた状態 使用の様子(イメージ) 工夫した点と使い方  市販のリーチャーはまっすぐな商品が多く、直棒タイプだときちんと肛門部まで届かないので、カーブしている必要がありました。 そこで市販のくし用リーチャーの形状に着目し、それを参考にS字カーブの形で製作しました。 お尻をふくにはトイレットペーパーをリーチャー先端へ巻き付けて固定するため、髪留めを利用しました。 この髪留めを開くには柄部分に力が必要でしたので、楽に開いてトイレットペーパーを挟めるよう透明アクリル板でそこを延長して軽い力で開けられるようにしました。 なお、髪留めは衛生面を考慮して金属製の商品を選択しています。 完成したお尻ふきの重量は57gでした。 これを使うことで本人はお尻をふき、すぐに乾燥させることができるようになりました。 なごや福祉用具プラザでは福祉用具の製作・改造を通じて、ご本人やご家族等の生活を豊かにするお手伝いをします。 お気軽にご相談ください。

2021.7.14

3Dプリンタで持ちやすいグリップとリーチャーを作る

3Dプリンタで持ちやすいグリップとリーチャーを作る  なごや福祉用具プラザでは工房をリニューアルし、3Dプリンタを利用した自助具製作ができるようになりました。 今回はご相談者が持ちやすく、ブラシが取り付けられるグリップとリーチャーを製作しました。  ご相談者はお風呂で身体を洗う時、足指の間や耳裏まで手が届きません。 また市販の洗体ブラシでは重くて使用しづらいため、十分に洗うことができませんでした。 最近、握力の低下も感じておられました。 今回3Dプリンタで製作したことでご相談者の持ちやすいグリップとリーチャーの設計・造形を行うことができ、気になっていた足指間・耳裏をご自身で十分に洗うことが可能となりました。 材料リスト 3Dプリンタ用フィラメント(PET-G) 重量 足指用リーチャー 30g(グリップ19g、パイプ11g) 耳裏用グリップ 14g 作り方  データを作成して、3Dプリントします。 プリントされた作品の不要な部分を落として、滑らかになるように研磨して、完成です。 製作費 お問い合わせください。 3Dプリンタを使用したメリット 「製作するときに型が不要」「一つから製作できる」「同時に様々な形ができる」「再設計・再造形が容易になる」などがあります。 足指洗い用 延長するパイプにブラシを直接接続できます。 耳裏洗い用 ブラシがグリップに直接接続できます。 持ち手の形状の変化 持ちやすさを考慮して再設計・再造形しました。 (下から上へ) なごや福祉用具プラザでは福祉用具の製作・改造を通じて、ご本人やご家族等の生活を豊かにするお手伝いをします。 お気軽にご相談ください。

2021.3.12

大きさの異なるハーモニカの固定補助具

大きさの異なるハーモニカの固定補助具  手の不自由な本人がハーモニカを吹く際に、首にかけるハーモニカホルダー(金属製、市販品)と、上下2段に吹き口があるハーモニカを使っていましたが、新たに1段のハーモニカを購入したところ、ハーモニカホルダーの幅に収まらないことがわかりました。 両親から「本人がそのハーモニカを吹けるように、なんとか固定できないだろうか。 」とプラザに相談がありました。  そこで、ハーモニカを固定する補助具を製作し、取り付けることにしました。 材料リスト アルミ角パイプ(15mm×15mm) 1本 亜鉛鉄板(0.5mm厚) 2枚 固定ネジ(M3) 4か所 材料費は800円程度 作り方  ハーモニカホルダーの取り付け部分の幅に合わせてアルミ角パイプを切ります。 ハーモニカの大きさよりも若干小さく木型を作り、そこへ亜鉛鉄板を表と裏で1枚ずつ押し当てて曲げ加工を行います。 この亜鉛鉄板をアルミ角パイプの上下面へネジで固定します。 工夫した点と使い方  当初ハーモニカの固定補助具を角材と透明アクリル板で製作しましたが、ハーモニカを透明アクリル板でズレないように押さえることができませんでした。 そこで、この固定補助具の材料を見直し、強度を考えて亜鉛鉄板に変更しました。 また亜鉛鉄板をハーモニカに密着させてズレないように木型は若干小さく作り、そこへ曲げ加工を行いました。  完成した固定補助具は亜鉛鉄板でアルミ角パイプを挟んだ形になっており、重量は97.5gでした。  使い方は、曲げ加工した亜鉛鉄板上下の間にハーモニカを挟んで固定します。 なお、ハーモニカを傷つけないように亜鉛鉄板を荷造り用の透明テープで保護しました。 本人はハーモニカを吹けるようになり、音楽の授業に参加しています。 ハーモニカを挟んだ様子 使用の様子 なごや福祉用具プラザでは福祉用具の製作・改造を通じて、ご本人やご家族等の生活を豊かにするお手伝いをします。 お気軽にご相談ください。

2020.11.10

感染症予防に役立つ自助具を作る

感染症予防に役立つ自助具を作る  なごや福祉用具プラザでは年度初めから新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、各種の講座や研修が中止・延期になっていました。 そして6月の緊急事態宣言解除後、8月開催の「自助具製作講座」で対応できるものがないかを検討した結果、『ドアオープナー』が良いと判断し、今回これを作る講座を企画しました。 ドアオープナーとは扉の引き戸などを手で触らずに開けることができる道具です。 2020年6月の時点ではドアオープナーが市販され始めた頃で、プラスチック材料や金属で作られたものが1,000円から3,000円の価格帯で販売されており、気軽に使えるとは言えない状況でした。 材料リスト 透明アクリル板(3mm厚) 130×70mm 21枚 専用接着剤 適量 材料費は500円程度 作り方  透明アクリル板2枚を専用の接着剤で貼り付けます。 そして接着した透明アクリル板へドアオープナーの型紙をマジックでなぞり、描きます。 なぞった線に沿って糸鋸などで切っていきます。 曲線ばかりなので慎重に切断します。 そして、その切った角をヤスリで削って平らに面取りします。 最後にひもを通す穴をドリルで開けます。 それぞれの作業では機器前の床に足形を貼付し、ソーシャルディスタンスを保つように注意喚起しました。 切断・穴あけ時の作業環境 左:加工途中の材料 右:完成品 使い方  ドアオープナーの端を握って、引き戸等をひっかけて扉を開けます。 またエレベータのボタンや照明のスイッチなどを押すためにも使えます。 使い終わったら水洗いやキッチン用洗剤で洗うと良いでしょう。 なおウエットティッシュで拭くことも良いですが、アルコール成分が入っているとアクリル板が白く変色してしまうことがありますので、注意してください。 引き戸の場合 エレベータボタンの場合 レバーハンドルの場合 照明スイッチの場合 水道蛇口の場合 なごや福祉用具プラザでは福祉用具の製作・改造を通じて、ご本人やご家族等の生活を豊かにするお手伝いをします。 お気軽にご相談ください。

2020.7.8

ボッチャ競技で使用するランプ(勾配具)に脚をつける

ボッチャ競技で使用するランプ(勾配具)に脚をつける  障害者スポーツセンター職員から「ボッチャ競技で使用するランプ(勾配具)に脚をつけてもらえないだろうか。 」とプラザに相談がありました。 ランプとはボッチャボールをジャックボール(目標球)のある方向へ転がす走行路のことです。 通常はこのランプを競技アシスタント(支援者)が競技者の指示のもとに支えて持っているのですが、「揺れたりして安定しないため、固定できるように脚をつけてほしい。 」とのことでした。 そこでこのランプ用の脚を製作し、取り付けることにしました。 材料リスト フレームパイプ2m 1本 パイプスタンド 1台 マルチコネクタ・ノブボルト付き 1個 マルチコネクタ 1個 アルミ板2mm厚/3mm厚 適量 固定ネジ 22か所 脚・土台12mm厚 300×250mm 材料費は4,000円程度 作り方  フレームパイプをカットし、垂直に立てるパイプ2本(高・低)と、それらをつなぐ水平パイプ1本を用意します。 それら全てをマルチコネクタでつなぎます。 垂直に立てるパイプ2本の先端にはアルミ板で製作したジョイントをネジ止めし、さらにランプ裏面へコの字のアルミ板を貼付してネジ止めします。 また垂直に立てたパイプ(高)は床に設置するため、パイプスタンドを取り付け脚・土台と固定して安定させます。 工夫した点と使い方 脚なしの様々なランプ  使用するランプ自体は木材でできており、ボッチャボールがころがる板部分は4mm程度の厚さしかありません。 そこへアルミ板を貼付して脚を取り付けるので、固定ネジの長さに注意しました。 また車いすを利用されている競技者が、十分ランプに近づけるよう、脚・土台の大きさにも配慮しました。  使い方はランプ上部にボールを置き、手やスティックなどで転がします。 ランプに脚が付いたことで、競技アシスタントが手で持って支えることがなくなり、揺れることなく安定して使用できるようになりました。 なごや福祉用具プラザでは福祉用具の製作・改造を通じて、ご本人やご家族等の生活を豊かにするお手伝いをします。 お気軽にご相談ください。

2020.3.11

パソコンで使用するトラックボールにクリックを保持する機能を追加する

パソコンで使用するトラックボールにクリックを保持する機能を追加する  左右の指に欠損のある方からトラックボールの操作がやりにくいので、改造して使いやすくしてもらえないだろうかとプラザに相談がありました。 その本人から理由を詳しく尋ねると、「左クリックボタンを押したままカーソルを移動させる、ドラッグ操作がうまくできないので、トラックボールに左クリックを保持する機能を付けてほしい。 」とのことでした。 それならばトラックボール製造メーカーのWebサイトに設定ソフトがあり、実現できることを本人へ伝えましたが、そのソフトと使用しているイラストレーターソフトのキー設定が競合していて、絵を描く機能で使えないものがあるので物理的にドラッグしたいということでした。 そこで別のスイッチを取り付けて、左クリックを保持する機能を持つようにトラックボールを改造することにしました。 材料リスト 鉄板(スイッチ固定用) 1枚 オルタネイト型スイッチ 1個 両面テープ 適量 結線用のリード線 適量 材料費は400円程度 作り方  まず鉄板を折り曲げて、スイッチを固定できるように台を作り、その上面に穴を開けてスイッチを挿入し、ネジ止めします。 スイッチ両端にはリード線をハンダづけします。 次にトラックボールの蓋を開け、左クリックボタン部分にこのリード線をハンダづけし、蓋を閉め、トラックボールと台を両面テープで固定します。 工夫した点と使い方  当初トラックボールの曲面に穴を開けてスイッチを取り付ける方法を検討しましたが、それだとスイッチが傾斜したままになり、本人にとって押しにくくなるので、台を製作して横に置き、スイッチを垂直に取り付けました。 このスイッチはON/OFFロック機能を持つオルタネイト型を採用しました。  使う場合は、左手中指でボールを回してカーソルをデスクトップ上のアイコンへ持っていき、右手小指でスイッチを押し込んでロックした後、左手でボールを回して移動させ、そこで右手小指でスイッチを押してロック解除し、ドラッグ操作を代替できます。 トラックボール右横のスイッチ トラックボール操作の様子 なごや福祉用具プラザでは福祉用具の製作・改造を通じて、ご本人やご家族等の生活を豊かにするお手伝いをします。 お気軽にご相談ください。

2024.3.22

プラザお困りごと解決ノート【玄関の段差についてのお悩み】

なごや福祉用具プラザにて、ご利用者の皆さまからいただくご相談の一例を紹介します。 玄関の段差についてのお悩み  プラザへ来所される方からの相談で多いもののひとつに「玄関の段差を解消する方法」についての内容があります。  そこで今回は、体⼒や筋⼒の低下、病気やケガにより思うように動くことが難しくなっても、安全・快適に過ごすための住宅改修や福祉用具をご紹介します。 ⼿すりをつける 介護保険住宅改修対象 工事で設置するタイプ 介護保険福祉⽤具レンタル対象 置くだけで設置できるタイプ 豆知識 ⼿すりの⾼さは、本⼈の⽴位姿勢時の⼿⾸の⾼さになることを目安に設定してください。 段差解消機の設置 介護保険福祉⽤具レンタル対象 垂直移動で段差を解消 スロープをつける 介護保険住宅改修対象 工事で設置するタイプ 介護保険福祉⽤具レンタル対象 持ち運びのできる簡易型 豆知識 スロープの勾配(傾き)は、介助して昇降する場合は1/8以下にする必要があり、自走する場合は1/15以下にすることが望ましいです。 階段昇降機の設置 椅子式 椅子型の昇降機に座るタイプ 車椅子用 車椅子に乗ったまま移動できるタイプ 介護保険福祉⽤具レンタル対象 可搬型 持ち運びができるタイプ お困りになられている状況に応じて、個別に対応する建築⼠・作業療法⼠の専⾨相談も行っています。まずはお気軽にお問い合わせください。