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2023.4.25

産学連携事業 株式会社ファーストとデジタルサイネージの新たな用途開発研究を開始

産学連携事業 株式会社ファーストとデジタルサイネージの新たな用途開発研究を開始  新しいデジタルサイネージの用途・形のアイデアを創出するプロジェクトが、名古屋市のサインメーカー、株式会社ファースト様との連携によって開始されました。このプロジェクトには、デザイン領域のインダストリアル&セラミックデザインコース、カーデザインコースの4年生、大学院デザイン研究科の学生の総勢25名が参加し、後藤規文教授と三枝樹成昭非常勤講師が担当します。2023年4月12日には、プロジェクトの1回目の授業が行われ、株式会社ファーストから企画開発グループ 鈴木雄大氏と製造事業部長 榊原洋介氏にお越しいただき、オリエンテーションとして企業の概要と、サイネージを廻る現状について説明していただきました。  デジタルサイネージが広く使われるようになったのは15年ほど前からで、公共の場や交通機関、店舗などで広報や広告の役割で使われています。今後は、学校や病院、家庭など、より身近な場所でさまざまな用途で使われると予想されているといいます。株式会社ファーストでは店舗の販促用サイネージが主流であり、紙のポスターに較べ、差し替えが容易であり、新しい情報を見せることに適しているというデジタル化による優位性についての説明がありました。また、今後、センサーと組み合わせ、見る人に合わせた情報の提供ができるようになることも考えられます。しかしながら、ネットショッピングが拡大する現在、リアル店舗の価値をどう考えるかということも大きなテーマといえます。また、学校や介護施設といった、これまでサイネージがあまり入っていなかった場所でも活用も考えられるといいます。  プロジェクトの目的としては、デジタルネイティブといえる若い学生が、柔軟な考えで未来を見据えたアイデアを出し、新たなデジタルサイネージの用途、使用シーン、設置場所と形を考え、最終的にはプロトタイプを制作しようというものです。学生たちは5つのグループに分かれてブレインストーミングを行いました。彼らはメモにアイデアを書き留め、分類しました。1時間の作業の後、各グループから代表者がアイデアを発表しました。学生たちが提案したアイデアは多岐にわたり、海中に表示するものやプロジェクションマッピングを利用するもの、スポーツジムでの活用やスポーツ競技そのものをショーアップする案など、実現の可不可とは関係なく学生らしいユニークなアイデアが数多く見られました。各グループはこれらのアイデアを、公共性と個人、現在と未来、場所と事柄といったことを軸にマトリックス図に置き直し分類しました。そこからさらに、案内、広告、教育、空間演出、エンターテインメント、体験、地域活性化、ポータブルなどなど、用途を広げて考えるなどしました。  後藤先生からは「タイプ分けまで作業したところだが、ここからさらに異なった要素を加えてさらにアイデアを広げて欲しい。来週からは、具体的に何を加えるかを考え、広げて考えて欲しい」とコメントしました。また、三枝樹先生からは「この続きとして、マトリックス図の上に違う色のメモを加えていって欲しい。一週間、気にかけて生活していれば何か良いアイデアが浮かんでくるはず」と企画案のさらなる広がりを求めました。  株式会社ファーストの榊原氏からは「デジタルというと、ともすれば冷たいイメージを思い浮かべますが、皆さんの意見を聞いていて、心が動くようなワクワクするものにつながって行くような気がしました。楽しいアイデアが出てくることに期待しています」とまとめ、今回の授業は終了となりました。  今後、アイデア出しを継続、さらに解決すべき社会課題を調査、設定して企画案をまとめ、5月末を目処にプレゼンテーションを行うことになります。後期では、企画案をもとにプロトタイプの制作を行います。

2023.3.6

古川美術館 分館 爲三郎記念館「メイゲイのコウゲイ:古川美術館プロジェクト」開催

古川美術館 分館 爲三郎記念館「メイゲイのコウゲイ:古川美術館プロジェクト」開催  美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)、美術総合コースと古川美術館・分館爲三郎記念館とのコラボレーション企画「メイゲイのコウゲイ:古川美術館プロジェクト」が2023年2月14日(火)~26日(日)に開催されました。展覧会に向け、これまで企画案のプレゼンテーション、制作進捗の報告会と続けてきましたが、いよいよ2023年2月13日(月)に展示の設営を行いました。生憎の雨となりましたが、学芸員の早川祥子さんをはじめとする美術館スタッフのアドバイスを受けながら、学生総出で設営を行いました。  これまでの報告会で、作品を展示する場所は想定されていますが、あらかじめ考えられていた場所に作品を運搬し、実際に置いてみて作品意図と合っているか、より魅力が伝わる配置はないかなどを検討しました。設置してみて、自然光の入り方を確認しながらライトを設置、お客さんの動線からの見え方など、実際に置いてみてはじめて分かることをじっくりと検証しました。学生らは、あらためて自分の作品と向き合い、コンセプトを思い返し悩みながら最適な展示を検討しました。印象的なのは美術館スタッフたちの手際の良さ。襖の取り外しや台座の用意など大きなものから、ライトの配置換えや電源ケーブルの処理など細やかなところまで、作品の魅力を最大限にしようと楼を惜しまず準備する姿勢はさすがプロフェッショナル。ときには作者と一緒に悩み考え、文字通り親身になって展示を考えていただきました。プロの方々と一緒に展示を体験できる非常に良い機会となりました。朝から搬入を始め、午後にはそれぞれが納得のいく形に納めることができました。  設営を終えて、中田ナオト 准教授からは「設営して自分がお客さんの気持ちになってどういう風に自分の作品が見えるか、展示は一番冷静に客観的に見える瞬間だと思います。設営で終わらせず展覧会にも必ず足を運んで、実際にお客さんと話をしたりして下さい。自分の作品について言葉にすることで、より作品に対する考えが深まります」と説明がありました。  学芸員の早川さんからは「明日から展覧会ですが、ぜひ展覧会の最初から最後までちゃんと見届けて欲しいと思います。できる限り展示の様子を見に来て、お客さんの反応や自分の作品のどんなところを見てもらったかなど、肌で感じていただきたいと思います。それから、一緒にこの展覧会を盛り上げるため、SNSでお手伝いして欲しいと思います。展覧会のことを知ってもらいたい、名芸の講義のことやこうした取り組みのことなど、ハッシュタグを付けて盛り上げて欲しいと思います」と言葉をいただきました。  また、この日、設営にあわせ名古屋市の文化芸術支援事業であるクリエイティブ・リンク・ナゴヤのための動画撮影がスターキャットにより行われました。プロモーション用の動画にはアートクリエイターコース 4年 田村くるみさんと西本華さんが出演。爲三郎記念館近くの覚王山日泰寺と参道で町歩きする様子を撮影し、爲三郎記念館で作品を見たりお茶をいただくシーンを撮影しました。さらに、学生ひとりひとりが自分の作品について語る動画も収録。Webサイトでの配信やスターキャットのNEWSでも放送される予定で、SNSの投稿でも使われます。

2023.2.15

工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館とコラボプロジェクト、進捗報告

工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館とコラボプロジェクト、進捗報告  美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)、美術総合コースと古川美術館・分館爲三郎記念館とのコラボレーション企画、作品の進捗報告会を2023年2月1日(水)西キャンパス セラミック工房にて行いました。古川美術館から館長代理兼事務局長 伊藤洋介氏、学芸員 早川祥子氏をお招きし、制作途中の学生作品を見ていただき作品の出来具合と当初のイメージ通りの設置で問題がないかを確認し、想定する設置場所を含めて再検討しました。  14名の作品を1展ずつ閲覧、すでに完成した作品もあればこれから焼き上げる陶の作品もあり、進捗状況はそれぞれですが作者の学生と対話しながら作品イメージをかため、展示場所や展示方法を検討しました。  作品は、七宝焼きを使ったもの、ガラス作品、ドローイング、大きな陶芸作品、テキスタイルの染め、アルミ缶を焼いた金属作品など、素材のバリエーションも大きさもそれぞれ大きく異なります(有志で参加するテキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーデザインコース学生の作品もあり)。それら一点一点の魅力と、全体的な見え方のバランスを考えながら展示を考えます。  いずれの作品でも焦点になったのが、作品を置く台座。前回のまでの説明で、古川美術館には白い木製の台や漆塗りの黒い台、高さも薄く低いものからテーブルと同じような高さのものまで、さまざまな展示台があることが学生には伝わっています。どういった展示台を想定して作品を作っているのかや作品のどの部分を見せたいのかといったコンセプトをあらためて聞き出し、最適な展示になるように検討します。中には、から大きく作品が変更になった学生もおり、こうした報告会の必要性がよく理解できます。印象的なのは、学芸員の早川さんの姿勢。ときには、メジャーを取りだし作品の寸法を確認するなど、作品を理解しその魅力を最大限に引き出そうとする姿はまさに学芸員の仕事そのもの。作品を作ることに集中するのが作家ですが、最終的にどう見せて何を伝えたいかそこまで想定しながら制作することが大事なのだと気付かされます。伊藤さんからも、作品の背景にある考えが面白い作品にはしっかりとしたステートメントや説明を付けるべきであることを指摘するなど、見せるという点についての考え方には確固としたものがあり、大いに刺激となるものでした。中田ナオト准教授は、作者も気づいていない部分の作品の魅力を掘り下げたり魅力に合った見せ方を作家としての立場から考えたりと、作品コンセプトに対して現状での練り直し作業を一緒に行いブレインストーミングのような報告会となりました。 前回の企画案  一通り、作品を確認したお二人からは、「展示は、いつも思い通りにならないものですが、一緒にその経験をしたいと思います。皆さんが見せたいようにすることが目標ですが、うまくいかないこともあります。そうした経験を今後の作品づくりに役立てて欲しいと思います」(早川さん)、「いろいろなバリエーションの作品があり、とても楽しみです。一緒に楽しみながらやっていきたいと思います」(伊藤さん)と、温かいコメントをいただきました。  また、今回の分館爲三郎記念館での展示が、名古屋市の文化芸術支援事業である「クリエイティブ・リンク・ナゴヤ助成事業」になり、SNSやWeb広告といった、デジタル技術を活用した広報活動の助成を受けることになりました。これに伴い、古川美術館と関連の深い名古屋のケーブルテレビ局 スターキャットが学生とともに広告用の映像制作を行うこととなりました。ニュースでの放映も予定され、さまざまな告知活動が行われることとなります。こちらも併せてお楽しみに。

2023.2.1

スペースデザインコース 株式会社ガーデンメーカーとコラボ、「プチART×GARDENプロジェクト」で移動できる庭を試作

スペースデザインコース 株式会社ガーデンメーカーとコラボ、「プチART×GARDENプロジェクト」で移動できる庭を試作  スペースデザインコースでは、株式会社ガーデンメーカー様と2020年から「プチART×GARDENプロジェクト」としてコラボレーション、生活する人に庭を身近に感じ、もっと楽しんでもらうためのアイデアの提案と研究を行っています。今年度は「お庭 x モジュール」のコンセプトで、庭をモジュール化し簡単に設置できることや季節に応じ移動できる商品開発を行っています。2022年5月に稲沢市のガーデンメーカーを訪れ、実際の植木の生産・販売の現場を視察、さまざまなアイデアを検討してきました。2022年10月には最終プレゼンテーションを行い、軽トラックの荷台に積むことができ、季節や設置場所に合わせて大きさや、和風と洋風など好きなように展開できる庭を実際に作成することになりました。2023年1月16日、いよいよ制作したモジュールを軽トラックに積み込み、実際の家にモニター設置してみました。  モニターとして協力するのは、多治見市にある個人宅。軽トラックにモジュールを積み込み、高速道路で向かいます。  モジュール化された“庭”は、60cm×60cmサイズの小、それを2つ並べた120cm×60cmサイズの中、120cm×120cmの大の3種類。軽トラックの荷台には、大と中の2つがちょうど収まります。モジュールは、運搬用のパレットの上に作られ、屋外用のプラスチック水槽を使うなど工夫して軽量化され、大きいサイズでも大人2、3人で運べるようになっています。設置する場合は、まず場所を決めてモジュールを配置、表面に園芸用の砂利や砂を置き、水槽部分に水を入れて池にしたり、鉢植えや根切りした植物を置くようにします。  現地では、庭や玄関先の空きスペースを想定した設置、駐車場や物置を想定した設置、庭のないマンションなどベランダを想定した設置の3パターンを試しました。  陣頭指揮を執るのは、このプロジェクトのリーダーである3年生の早川宗汰さん。場所に合わせて、3種類、4つのモジュールの組み合わせを考え、配置を指示します。大人2人で運ぶことができるといっても、土や砂利を含むとそれなりの重量になるため、注意しながら全員で協力して配置します。場所が決まったところで土と砂利を入れ、植物を植えます。モジュールには、発泡ウレタンを使って作られた岩もあり、一見、チープに見えますが、周りにタマリュウの植え込みを作ると重厚な質感。駒井貞治教授によると、発泡ウレタンで作る岩は、代々スペースデザインコースで受け継がれている制作の技があるのだとか。色合いといい、ユニークさあふれる出来映えです。白い玉砂利を敷き詰め水を張って、池も完成です。玄関先、駐車場、ベランダと3か所に設置してみましたが、いずれの場所でも空間の雰囲気が一変します。組み合わせを考える楽しさや植え込みを作る工夫も感じられ、長く楽しめそうな感触です。  現場を訪れた、(株)ガーデンメーカー マーケティング本部 木場里紗さん、立岡佑亮さんからは「これまで、プレゼンでモデルを見てきましたが、1分の1スケールで迫力があります。実際のサイズになると、作り込みのバリエーションもいろいろ考えられ、さらに発展してアイデアが広がります」といった声が聞かれました。  3か所に設置するには時間がかかるものと思われましたが、軽量化のために内部が空洞化してあり、敷き詰める土や砂利の量も少量で済み、片付けも想定より短時間で完了しました。簡便に扱えるという点で想定以上の結果を確認でき、意義深いテスト設置となりました。

2023.1.31

メディアコミュニケーションデザインコース、大垣共立銀行テラッセ納屋橋支店デジタルサイネージのコンテンツを制作

メディアコミュニケーションデザインコース、大垣共立銀行テラッセ納屋橋支店デジタルサイネージのコンテンツを制作  MCD(メディアコミュニケーションデザインコース)では株式会社 大垣共立銀行様とコラボレーションし、テラッセ納屋橋支店の大型デジタルサイネージに表示する映像コンテンツ制作の共同研究を行っています。テラッセ納屋橋支店のデジタルサイネージは、8本に分割された特殊な形状、また、外部からも見える銀行のロビーに設置されており、場所や大きさにおいても形状においても特殊なものといえます。このマルチディスプレイに表示するコンテンツの制作は、例年、MCDで取り組んでいる課題で、今年は“平和”と“変革”という2つのテーマからどちらかを選んで制作することとなりました。  2022年12月13日(火)、大垣共立銀行様をお招きし、制作予定の内容を確認する中間プレゼンテーションが行われました。学生は、3名ごとに7つのグループにわかれコンテンツを制作しますが、グループごとに絵コンテと簡単なビデオコンテを制作し、コンセプトとストーリーを説明しました。“平和”を選択したのが4グループ、“変革”を選択したのが3グループとなりました。  “平和”については、ロシアのウクライナ侵攻や国ごと地域ごとにある格差など、これまでそれほど意識することなく過ごしてきた平和という言葉の重さについて、いずれのグループも深く考えていることが伝わるものでした。“変革”についても、コロナ禍で変革を余儀なくされた現代や歴史的にお金や移動方法などが変わってきたことを織り込むもの、日常の中に小さな変化を取り入れることでワクワクを感じさせるポジティブな内容など、考えさせられるものが提案されました。  いずれのチームでも指摘されたのが、表現の伝わりやすさの問題です。複雑な内容になるほど間違いなく意味が伝わるような表現が必要となりますが、正確に伝わらない部分や検討課題の指摘を受けました。また、コンセプトから、もっと表現を変えた方がより明確になるのではといった言葉もあり、クライアント側からの視点で見てもらうことの大切さを感じさせました。デジタルサイネージの形状の特殊性から映像の構図を見直したほうが良い部分や、銀行のロビーに設置されている都合上大きな音声を使うことができないことなど表現に制約が加わり、そうした点からも見直してみることが必要ではないかとの声もありました。また、営業が終わった後もサイネージの映像は流される予定で、ぜひ夜も見て欲しいとのコメントもありました。  学生からは、大垣共立銀行について、ダンスのCMなどから地域性の高さや親しみやすさを感じていたが、納屋橋の店舗はシックで大人っぽい内装で良い意味でギャップを感じており、そこに表示する内容なのでふさわしいものを作りたいといった意気込みが聞かれました。  大垣共立銀行様からは、映像を審査するような普段の業務では経験できない非常に良い体験をさせてもらっています、学生の皆さんもこの経験を糧にして欲しい、との言葉をいただきました。  今後、表現とストーリーをさらにブラッシュアップし、制作に入ります。

2023.1.28

工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館コラボ、企画案をプレゼンテーション

工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館コラボ、企画案をプレゼンテーション  美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)、美術総合コースでは、名古屋市千種区の古川美術館・分館爲三郎記念館と連携、2023年2月14日(火)~26日(日)までの2週間、爲三郎記念館に学生の作品を展示します。  2022年11月25日に学芸員 早川祥子氏をお招きし、学生が構想している作品アイデアをひとりひとりプレゼンテーション。陶芸作品などを設置する場合の建築物や畳への問題や、置き場所について確認していただきました。  プレゼンテーションは、14名の学生が作品のアイデアスケッチや小さなサンプルを用意して、作品のコンセプトと素材や大きさ、具体的に設置したい場所などを説明します。実際に爲三郎記念館を訪れてイメージを膨らませ構想を練った学生もおり、さまざまなアイデアが出されました。床の間や縁側といった建物から着想したもの、また、雪見障子や漆塗りの展示台といった展示のディテールに着目したものなど、それぞれに個性あふれるプレゼンとなりました。印象的なのは、数寄屋造りと作品の関係性。いずれのアイデアも、建物から触発され発想されたもので、建物と作品が見る人にどんなことをもたらすか、まだ具体的に作品に落とし込めていない学生もいましたが、爲三郎記念館という場所の面白さを感じさせました。  作品の背景を聞きながら早川さんからは、展示スペースについての詳細な説明や畳に置く場合の処理などお話しいただきました。ときには作品の意図をより生かすため別の場所へ展示した方が良いのではとアドバイスをいただいたり、設置方法についても吊すことや展示台の利用など学生と一緒になって検討したりしました。また、それぞれの作品を設置した場合に作品同士の相性が良いか、別の作品があることでより魅力を高めることができないかなど、展示全体にも広げて考えている様子で、まさしく作家と一緒に展覧会を作っていく学芸員の仕事の一端を見るような講義となりました。学生でも作家としてみなし、作品をより良く見せようという取り組み方には感銘を受けました。学生らにとって、作品を作るだけでなくそれをどう見せるか、プロの学芸員の方と協働することは今後の制作においても貴重な経験になるのではと感じました。  一通りプレゼンテーションを終え問題点を洗い出し、展示の構想がまとまったところで制作に進むことになります。この後、年明けの2023年2月1日に最終のプレゼンテーションを行い、2023年2月の展示となります。

2023.1.28

2022年後期、工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館とコラボプロジェクト開始

2022年後期、工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館とコラボプロジェクト開始  美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)、美術総合コースでは、名古屋市千種区の古川美術館・分館爲三郎記念館と連携、2023年2月14日(火)~26日(日)までの2週間、爲三郎記念館に学生の作品を展示することになりました。前期は、デザイン領域 テキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーデザインコースが古川美術館・分館爲三郎記念館コラボし、ミュージアムショップで販売するグッズのプロデュースを行いました。今回、美術領域では、作品は自由とし、展示場所である数寄屋造りの爲三郎記念館や古川美術館のある池下という町からイメージを膨らませ、作品制作を行います。そのプロジェクトの第1回目として2022年10月20日、古川美術館 館長代理兼事務局長 伊藤洋介氏、学芸員 早川祥子氏にお越しいただき、学生に古川美術館について講義していただきました。  伊藤さんからは、古川美術館の魅力についてお話しいただきました。古川美術館の魅力として、(1)アクセスの良さ、(2)広すぎず心地良く見学できる規模、(3)美術に通じていなくて楽しめる作品解説、(4)数寄屋造りの爲三郎記念館での展示、(5)カフェやショップ、お茶会など美術鑑賞だけにとどまらない美術館の楽しさ、の5つを挙げ、説明していただきました。  早川さんからは、展示会場となる爲三郎記念館(旧古川爲三郎邸)の概要について、や写真を交えて説明いただきました。今回のプロジェクトで作品の展示会場となるのはと。それぞれ、6畳間と8畳間をつないだスペースで(2部屋で合計28畳のスペース)、襖の取り外しも可能とのこと。さまざまなサイズの展示台もあり、これらも活用して作品を考えて欲しいとのことでした。参考に過去の作品展示の例として、部屋をめいっぱい使った米山デザイン領域 メタル&ジュエリーデザインコース教授のインスタレーション作品などが挙げられました(「つむぐけしき よむこころ」米山和子 祖父江加代子)。  質疑応答では、陶芸作品を置く場合に底面の処理をどの程度まで整えればいいか、2023年2月の展示期間の頃庭の植物や木はどんな具合か、中庭を使っての展示も可能か、など具体的な質問が出て展示に対して大いに刺激を受けたようです。  担当する中田ナオト 准教授からは、「名古屋の都心からすぐにもかかわらず、緑が豊かで空気が変わるような、心が安らぐ場所であり、建物の高低差も含め複雑な印象を受けると思う。実際に現場を訪れてそういったところから作品を考えても良いし、伊藤さんのお話にはショップやカフェの魅力についてもありましたが、そういう場所で使える物や商品の提案でも良い。ほかにも美術館の歴史や背景から考えても良いし、所蔵の作品からインスピレーションを受けて創るというのも今回のプロジェクトならではの魅力ではと思う。いくつか切り口があり、いろいろな着眼点から考えて欲しい」と言葉がありました。早川さんからは「前期のプロジェクトでは、学芸員では思いつけない豊かな発想の作品がたくさんあり、とても刺激になり勉強になりました。今回も学生の皆さんの自由な作品をとても楽しみにしています」と期待する声がありました。  今後のスケジュールとしては、展示のアイデア出しを経て2022年11月中にプレゼンテーション、その後制作を行い2023年2月に展示となります。 敷地の見取り図 大桐の間 ひさごの間

2023.1.25

イラストレーションコース 尾上優衣さん、名古屋矯正管区のデジタルサイネージ映像を制作、感謝状を授与されました

イラストレーションコース 尾上優衣さん、名古屋矯正管区のデジタルサイネージ映像を制作、感謝状を授与されました  デザイン領域 イラストレーションコース 3年 尾上優衣さんが、サカエチカ クリスタル広場のデジタルサイネージに表示する再犯防止の広報動画を制作、感謝状を授与されました。名古屋矯正管区は、法務省の地方機関で刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所に対し、矯正事務全般にわたって指導、監督等する機関で、地方公共団体や民間支援団体、地域社会とともに再犯の防止と更生支援に取り組んでいます。再犯防止には、地域の支援が不可欠であるため、広く一般に地域の方の理解を得るためのPR映像の制作依頼が本学にあり、イラストレーションコース 片山浩 准教授の推薦で尾上さんが制作することとなりました。尾上さんは、イラストレーションコースでありながら、これまでにもアニメ制作に取り組んでおり実力を買われての起用となりました。  尾上さんは、事前に名古屋矯正管区から業務の説明を受けたり、刑務所を見学するなどして映像を制作しました。ストーリーは、出来心で起こした窃盗で刑務所に入った主人公が、罪を償い出所後社会復帰を目指します。しかしながら思うように就職できず、再び罪を犯してしまいそうになるところ優しい声をかけられ社会復帰ができるという内容。社会復帰には地域の支援が必要なことを伝えるアニメーション作品です。  この連携事業に対して名古屋矯正管区から名古屋芸術大学に感謝状が贈られることになり、2023年1月19日に受領しました。管区長 高橋昌博氏からは「15秒という短い時間の中に、矯正施設から出所し社会復帰するまで数年分の時間が表現されており、素晴らしい出来映えです。また、栄という場所で、こうした私たちの取り組みをアピールできることも非常に大事なことで、とても嬉しく思っています」とお褒めの言葉をいただきました。  PR映像は、サカエチカ クリスタル広場のサイネージエイト(クリスタル広場ビジョンの外側、4本の柱、合計8面)で1月31日まで5分に1回放映されます。栄にお越しの際は、ぜひご覧下さい。

2023.1.25

カーデザインコース × 豊田合成「2030年のUX・モビリティデザイン開発研究」最終プレゼンテーション

カーデザインコース × 豊田合成「2030年のUX・モビリティデザイン開発研究」最終プレゼンテーション  デザイン領域カーデザインコースでは、豊田合成株式会社様と連携し、「2030年のUX・モビリティデザイン開発研究」を行ってきました。2022年9月からの後期の講義枠で、豊田合成社員の方々を講師としてお招きし、2030年の社会や自動車を廻る環境を予測し、それをもとに新しいUX(ユーザー体験)を考え、それをデザインに落とし込むという課題を行ってきました。その最終プレゼンテーションを、2022年12月16日(金)に、豊田合成から開発本部 副本部長 川島大一郎氏、開発本部 デザイン開発部長 大松直樹氏をお迎えし行いました。  プレゼンテーションは、4分間の説明に3分間の質疑応答、コンセプトとデザインの背景をまとめたボードを提示、あわせて制作したモデルを手に説明します。  プレゼンは2年生からスタート。それぞれに働き方の変貌や仕事をする状態の変化など、2030年の社会を想定しそれに応える形の提案が続きます。時間に余裕ができ、休日にリラックスするためのモビリティ、乗ることでリラックスできるクルマなど、自動運転の発達により移動中にリラックスできるような提案が多く見られました。また、ハンドルとアクセル、ブレーキといったペダルではなく、身体全体を使って操作するクルマ、足の悪い障害者でもひとりで乗り降りできるバイクなど、社会参加や運転そのもののUXを新しくしようというアイデアも提案されました。  3年生のプレゼンでは、社会の変貌がより細かく想定され、情報技術と自動運転の発達により自動車の所有の概念が変わり、ホテルが移動する個室サービスを提供するアイデア、教育が知識を詰め込むことから体験を重視するように変化し、文科省とコラボレーションするモビリティ、旅行へ出かけそこで物事や人と出会うことを増やすことができる乗り物、また、物理的なものよりもかたちのないものの価値が高まることで、自分の価値について考えることができる内省的な案、個人情報が重視され誰が乗っているか外からわからないようにする提案など、さまざまなアイデアが提示されました。共通することは、事業の提供者を含めた提案が多く、クルマを所有することからレンタカーであったりシェアすることが一般的になっていくと想定する提案が多いこと、また、効率化とは逆のゆっくり走ることや個人情報の重視など、多様な価値観を反映させる提案が印象に残りました。  講評では、川島氏からは「非常に刺激的なアイデアがたくさんあり気付きも多く、若い人たちの考える方向性をもっと知りたくなりました。実際に社内でも未来について考えていますが、今日の提案の多くは今考えていることの延長にはなく、皆さんに将来売るためのクルマは出てこないように思います。考え直す必要があるように感じました。とても勉強になりました」と評価をいただきました。大松氏からは「何ヶ月にも渡り取り組んでくれてありがとうございます。2年生、3年生でレベル感の違いはありますが、想像していたものと異なることがたくさんあり刺激になりました。会社に勤めることにストレスやネガティブな印象があるようですが、たくさんのハピネスもありますよ」と笑わせました。  プレゼンテーションが終わったあとは、講師を務めていただいた若手の社員の方々も交え懇談会となりました。実際に企業で働く方のお話や、アイデアをブラッシュアップさせる提案など、学生にとっても有意義な懇談会となりました。

2023.1.21

デザイン領域 北名古屋市フードドライブ事業にボランティア参加 食品1000点超が集まりました

デザイン領域 北名古屋市フードドライブ事業にボランティア参加 食品1000点超が集まりました  2022年10月30日(日)、北名古屋市は余った食品を市民から回収して食料支援につなげるフードドライブ事業をピアゴ西春店で開催。食品の回収ボランティアに、フードドライブ事業のポスターを作成したデザイン領域の学生が参加しました。  ボランティアに参加したのは、ポスターを制作したデザイン領域1年生の小島結さん、長岡知里さん、久田釈世さん、さらに昨年ポスターを制作しボランティアにも参加したデザイン領域 スペースデザインコース 2年 城田菜月さんの4人。今回から、北名古屋市女性の会も加わり、賑やかに回収が行われました。  午前9時からの回収に合わせ、北名古屋市環境課の指示の下、女性の会の方々と回収の方法を手分けしました。回収できるものとして賞味期限が1ヶ月以上あるものとされているため、受け取った食品が開封されていないかを確認し、どれくらいの量があるか点数をチェック、さらに賞味期限を確認して、箱に詰めて品名と賞味期限を箱に記す、という手順で回収します。このように、単に食品を受け取るだけでなく、それが適切なものか確認し、バックヤードで整理して箱詰めする仕事があります。これらの作業を参加者が分担し、回収します。  スーパーの開店とともに、食品を手にした方が訪れます。中には台車にいくつもダンボールを積み重ねた方もおられ、ボランティアたちからはうれしい悲鳴が上がります。作業を進める中、学生らは女性の会の方々とも打ち解け、和やかな雰囲気のなか回収が行われました。食品点数を何度もチェックしながらリストが埋まっていくことに、皆でよろこびとやさしさ、やりがいを感じました。  回収を始めてから2時間も過ぎた頃には、1000点を上回る数の食品が集められ、机の上にはダンボールの山ができあがりました。NPO フードバンク愛知の寺田覚さんは「点数で1300点以上、目算ですが現時点で200kgは超えてると思います。前回が850点ほどだったので倍くらいなるかもしれません。1か所でこれほど集まったのは全国的に見てもトップクラスじゃないかと思います」と顔をほころばせました。寺田さんによれば、「まだまだフードドライブ事業に対して周知が足りなく、参加したいと思っていてもどうやって参加していいかわからない人が多くいるのでは」とのこと。ポスターをはじめとする周知活動や、回収にも学生が協力して取り組んでいることに、高い評価をいただきました。