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2024.4.17

テキスタイルデザインコース、有松・鳴海絞り「張正」とのコラボ商品 デザインを決定

テキスタイルデザインコース、有松・鳴海絞り「張正」とのコラボ商品 デザインを決定  テキスタイルデザインコースでは、有松・鳴海絞りの張正さんとコラボレーションし、伝統の「豆絞り」を使った作品を制作「有松絞りまつり」にて販売を行います。張正さんの豆絞りB反(染めむらなどちょっとした難点のある二級品)を使い、学生が板締め絞りで模様を加えアップサイクル商品とします。有志6名の学生が有松にてサンプル品を制作しましたが、その中から商品化するデザインを選定しました。制作されたサンプルはひとり10種類。2024年4月9日(火)、60種類の手ぬぐいサンプルを持ち寄り、テキスタイル工房に集まりました。  有志の学生は、清水咲和さん、鈴木心彩紀さん、中島成美さん、深草穂華さん、水谷茉優さん、山本舞瑠さんの6名(中島さんはこの日お休み)。それぞれ制作した10のサンプルを壁に貼り、デザインを検討しました。サンプルの制作は張正さんにて行い、豆絞りと同じ色合いになるように同じ染料の濃淡2種類を使って制作したもの。色味が合っているだけありベースの豆絞りとよく合い、どれも素晴らしい出来映えです。どれも商品として十分魅力的に思えますが、そこからまずひとり2点を選出します。デザインのユニークさはもちろん、ほかとの兼ね合い、商品化するための再現性などを考慮した上で、学生それぞれのお気に入りや思い入れを聞き選択していきます。  都合12枚を選び、さらにここから半分の6枚に絞り込み商品とします。12枚を並べて壁に貼り、検討を重ねます。「張正さんの伝統の雪花絞りも入れたいし……」「これとこれはデザインが似てるからどっちかで」「男性にアピールできるのも欲しいし……」と、それぞれに意見を出しながらじっくり選びます。バルク生産(アパレル業界ではサンプルではなく本生産の意)すること、学生が卒業してしまっても後輩が指示書から再現できることも念頭に選びます。最終的は、商品としてのバリエーション、安定して作ることできることを重視しつつ、それぞれの個性や思い入れのあるものが選ばれました。  プロジェクトの感想を聞くと「家族にサンプルを見せたんですけど、これが一番かわいいっておばあちゃんが言ってくれたデザインが選ばれました」(清水)、「いままでの授業では、板締めじゃないものばかり染めていたんですよ。バルク染色では、ちゃんと柄が出るかドキドキです。一番好きな柄が選ばれてうれしいです」(深草)、「これまで花柄とか作ることが多かったので、ちょっと違うものが選ばれびっくりしてます。評判良くてうれしいです」(山本)、「張正さんで豆絞りのお話を聞いて、かわいいだけじゃなく長い歴史があるんだなとわかりました。自分の柄を加えることで、豆絞りの印象が崩れないようにデザインを考えました」(鈴木)、「畳み方とかいろいろ考えました。選んでもらったデザインも、もっと自分でアレンジして新しいものができないかと考えてます。とても良い経験になりました」(水谷)と選考にも出来映えにも充実した感想が聞かれました。また、なにより学生たちが楽しみながら制作したことが伝わってきました。  この後、2024年4月末に商品を制作、2024年6月1日、2日の有松絞りまつりでの販売となります。恒例のテキスタイルデザインコース 有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクトと併せ、ぜひ有松絞りまつりへお運び下さい。

2024.4.8

テキスタイルデザインコース、有松・鳴海絞り「張正」とコラボレーション、豆絞りB反をアップサイクルし商品化へ

テキスタイルデザインコース、有松・鳴海絞り「張正」とコラボレーション、豆絞りB反をアップサイクルし商品化へ  テキスタイルデザインコースでは、有松・鳴海絞りの張正さんとコラボレーションし、伝統の「豆絞り」を使った作品を制作し例年出店している「有松絞りまつり」にて販売を行います。加えて、レギュラー商品として通年販売できるよう商品化を目指しています。  張正さんの豆絞りは、江戸時代から続くドット模様の伝統的な絵柄。生産の過程で出たB反(染めむらなどちょっとした難点のある二級品)を活用し、豆絞りの柄と重ねるように染めを加えて作品を作ります。2021年に開催された「KOUGEI EXPO IN AICHI」でも同様の作品を制作、好評を博しました。今回は、その第2弾ともいうべきプロジェクト。前回は、豆絞りにシルクスクリーンプリントを加えた作品を制作しましたが、今回は板締め絞り(布を2枚の板の間に挟み強く締め、染料の浸透を防いで模様を染め出す染色法)で幾何学模様を加えるという贅沢さ。テキスタイルデザインコース3年生6名の学生が参加しました。  2024年4月2日(火)、学生らはあらかじめB反の手ぬぐいをすぐ染色できるよう折りたたんだ状態まで準備し、有松駅近くの張正さん店舗に集まりました。定番の正三角形をはじめ、四角形、布がはみだすようにたたんだもの、割り箸で挟んだものなど、さまざまなバリエーションのものを一人10通り、制作してきています。それぞれが10種類のサンプルを制作し、その中からひとつを選び6名で6種類の商品を作ることになります。  染色する前に、店舗で張正の鵜飼小百合さんから、豆絞りの歴史についてお話を伺いました。  張正さんの豆絞りは、江戸時代から続く伝統的な絵柄ですが、第二次世界大戦によって手作りの制作方法が失われた後に、張正さんの先代、先々代が研究を重ね復活させたもの。江戸時代の浮世絵を参考に再現する方法を研究、たまたま知多の海水浴場に行った先々代が、豆絞りの手ぬぐいを持っている人を見つけ、初めて豆絞りの実物を手に取ることができ、試行錯誤の末に実現したとのこと。量産することも見据えての再現だったこともあり、じつに5年もの歳月がかかったといいます。  現在でも豆絞りは、布の変化もあり、決して歩留まりが良いわけではなく、たくさんのB反が出てしまうとのことです。日本で唯一絞りで再現しているということ、また、納得できるクオリティでなければ商品としない職人としての誇りを、あらためて感じさせます。  お話のあと、張正さんの染色工場へ移動し、染めの作業を行いました。鵜飼敬一さんの指導のもと、浸染(布を染料溶液に浸して染める方法)で染めていきます。今回の制作は商品化を目指すということで、学生それぞれが布のたたみ方とどの部分にどれくらい色を入れたか、制作のレシピを克明に記録、制作する人が変わっても同じような柄を作ることができるようにしていきます。  3年生の学生は、これまでに何度も手ぬぐいの制作を経験しており、作業自体は慣れたもの。スムーズにそれぞれが10種類の柄を染め上げました。できあがったサンプルは、いずれのサンプルも豆絞りの柄とマッチしどれも魅力的。商品化するものを選ぶのがうれしい悩みになりそうな素晴らしい出来映えで、商品化への期待も高まります。  学生からは「豆絞りの柄をどう活かせばいいか、丸みにあわせようかとか、いろいろデザインを考えました。絞りをベースに考えることが貴重な経験になりました」「これまで白地に染めたことしかないので、出来上がりを見て印象が想像と違い、面白いなと思いました」「絞りの歴史を聞いて、学ぶことが多かったです」「自分が考えていたことに作業するとき少しアレンジを加えて楽しんで制作できました」「豆絞りの歴史を知ったこと良かったです。柄を重ねることで印象が変わって面白いと感じました」との声が聞かれ、絞りの技術と歴史の面白さをあらためて感じた様子でした。  今後は、サンプルを持ち帰り商品化するデザインを選び、4月末に商品を制作、2024年6月1日、2日の有松絞りまつりでの販売となります。恒例のテキスタイルデザインコース 有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクトと併せ、ぜひ有松絞りまつりへお運び下さい。

2024.3.22

インダストリアル&セラミックデザインコース、フジプレコン株式会社様と連携、コンクリートを使ったプロダクトを提案

インダストリアル&セラミックデザインコース、フジプレコン株式会社様と連携、コンクリートを使ったプロダクトを提案  インダストリアル&セラミックデザインコースでは、鉄道・道路で利用される側溝や電線などを収容するトラフなど、コンクリート製品を製造する企業 フジプレコン株式会社様と連携し、コンクリート製品を製造する過程で発生する余剰分をリサイクルした、コンクリート製のプロダクトを考案しました。12月にアイデア出しを行い、中間プレゼンテーションを経て、2024年3月5日(火)フジプレコンの皆さまをお招きし、最終プレゼンテーションを行いました。コンクリートの質感や重量、自由な形に造形できるといった特性を考慮し10名の学生が12のアイデアを提示、3Dプリンターを使って制作したモデルとともに説明しました。学生らしいユニークなアイデアあふれる楽しいプレゼンテーションとなりました。  学生ひとりひとりが、モデルを手渡しコンセプトを説明、5分程度の簡単なプレゼンテーションを行いました。提案は、デスク周りで使える文房具やティッシュボックスなどのグッズ、コンクリートの重さを生かしたブックエンドやドアストッパー、手触りや質感に着目したマスコット、屋外で使えることを利用した鉢植えなど、さまざまなアイデアが出されました。フジプレコンの製品であるU字溝をモチーフにした作品や、犬やキャラクターなどをモチーフにした可愛らしい作品には、発想に感心する声も聞かれました。中間プレゼンからのアップデートに加え、実寸のモデルを目にするとコンクリートで制作することを考えている様子で、手応えを感じます。  プレゼンテーションを終え、フジプレコン株式会社様の選考により、最優秀賞に後藤ゼミで考案した「U字溝フォントとU字溝を使った文具」が選ばれ、代表者として山本遙奈さんが賞状を受け取りました。優秀賞にはコンクリートの重さと形を利用した小林由奈さん「チーズスタンド」が選ばれました。最優秀賞の「U字溝フォント」はU字溝をモチーフとしてアルファベットの立体を作り、表札にするなどさまざまに活用できるようにするアイデア。小林由奈さんの「チーズスタンド」はチーズの形をした置物で、穴に筆記用具や歯ブラシを差し込んで使います。「コンクリートの重さを生かしつつ、可愛くて身近に感じられるものを考えました」と説明しました。  講評として松林克法 代表取締役社長から「若々しい皆さんのアイデア、とても楽しく拝見しました。弊社だけではデザインの発想に頭打ちで、どう進めていけばいいものかと思っていました。もっと早く相談すれば良かったと感じています。今日のプレゼンテーションを見て、また新しいことに挑戦できるなと思いました。優秀賞の2つは、さらに研究を進めていきたいと思います」と今後の商品化が期待できるコメントをいただきました。  担当のデザイン領域 後藤規文教授は、「ただ単に飾るだけでなく、実用もできノベルティとして価値の高められるものができれば面白いと考えています」とコメント。松林代表取締役社長からは、ぜひ、一度、会社を見に来て下さいとの言葉がありました。サンプルとしてモデルと3Dデータをお渡しし、継続してプロダクト化を目指すことになりました。 最優秀賞 U字溝フォントとU字溝を使った文具 (代表者)山本遙奈さん 優秀賞 チーズスタンド 小林由奈さん

2023.12.6

山田念珠堂 × ライフスタイルデザインコース 「香と線香の新しい作法 -catalog of ideas 2023」 線香の新しい魅力を提案

山田念珠堂 × ライフスタイルデザインコース 「香と線香の新しい作法 -catalog of ideas 2023」 線香の新しい魅力を提案  ライフスタイルデザインコースでは、大阪上本町の株式会社 山田念珠堂様からの依頼を受け受託事業として、新しい商材の企画、情報発信などのアイデアを提案するプロジェクトを進めています。昨年は、念珠(数珠、珠数、じゅず)に関連する商材の提案を行いましたが、今年度は山田念珠堂が運営する線香のお店「あさん堂」とコラボレーションし、香と線香に関連する商材に取り組みました。線香は、大阪府堺市の工芸品で「堺線香」として大阪府知事指定伝統工芸品にもなっています。学生たちは、2023年6月に堺伝匠館を訪れ線香の製造現場の見学と香の製作体験を行い、香や線香そのものを知ることからはじめました。さらに堺市という場所と線香とのかかわりにも知見を広め、香や線香の歴史を踏まえたうえで現代の生活にマッチした新しい商材を考えました。  2023年11月15日(水)に、山田念珠堂 山田弘樹様、堺線香伝統工芸士 鈴木壯一様をお招きし最終のプレゼンテーションを行いました。参加した学生は、ライフスタイルデザインコース 3年 奥田 ひなたさん、波多野裕恵さん、2年 鴨下ゆうさん、長岡知里さん、松尾賢さんの5名、さらに助手の2名を加え、17の提案を行いました。  香や線香の使われ方としては仏事や神社を連想しますが、香りを楽しむことや燃え尽きるまでの時間で時計として使うなど、昔からさまざまな行われ方をしてきました。そこから派生し、煙が消えることを消滅することや浄化することに見立てた提案、自由に好きな香りを作ることができるキット、線香を立てることの意味を広げ日常生活の中で使うための道具、煙を見て癒やされるインテリア、文芸ライティングコースと協力し香りに関連したショートストーリーと一緒に販売する案、擬人化してキャラクターにする案など、文字通りさまざまな17の提案が披露されました。いずれの提案にもサンプルが試作されており、実際に手にとって見ることができるようになっています。プレゼンではひとつひとつの作品に対し「これは考えたことなかった」や「これはすぐに採用できる」といった声や、さらにブラッシュアップする部分への言及もあり、まさに商品開発のブレインストーミングを行っているようになりました。  山田さんからは「若い皆さんには難しいテーマだったと思いますが、それぞれにキーワードを見つけ提案していただき皆さんの努力がよく見えました。昨年の数珠の提案よりも、線香という機能を重視した提案だったように感じます。印象的だったのは、手紙に封をするための蝋のようにする“封香”、見た目は線香ではないように見えるもの、こうしたものはお客さんに先入観なく受け入れられ線香のイメージを変えられるのではないか可能性を感じました」と講評をいただきました。  鈴木さんからは「本当に頭が下がるほどのアイデアをいただきました。これまで線香にかかわって来ましたが、煙の少ないお線香以外で新しい商品というものはありませんでした。自分でも新商品をいろいろ考えてみていますが、どこから手を付ければいいのかと思いあぐねていました。最近になって、お線香に物語を作ること、SDGsであるとか東北震災の復興祈念で売上の一部を寄付するであるとか、このお線香はこういう物語の上にできましたと、そんなふうになっていくのかなと思っています。そういう点でも新しいアイデアをいただいたように思います。すぐに商品化できるものではないかもしれませんが、これらのアイデアにひと味ふた味プラスすることで素晴らしい商品が出るのではないかと可能性を感じています。本当にありがとう!」と言葉をいただきました。  萩原周教授からは、「できあがったカタログと試作品をお送りし、商品化はもちろん今後お役に立てることには協力いたします」と約束し、プロジェクトは終了となりました。  学生からは「こうした順序立ててやっていくのは苦手でプロジェクトは良い経験になった」「大きなプロジェクトに参加するのは初めて、ほかの人の作品もすごく参考になった」「伝統的な線香というものをデザインし直す難しさを感じた、魅力を再認識することも多くあり良い経験になった」「家族と線香について話すことにもなった、知らないことを知ることができた」などの感想が聞かれ、プロジェクトを済ませた安堵感とともにさらに線香への興味が増したと話し、充実したプロジェクトなったことを感じさせました。

2023.8.25

中部文具工業組合「2023 文具デザインプロジェクト」最終審査発表会を開催

中部文具工業組合「2023 文具デザインプロジェクト」最終審査発表会を開催  本学デザイン領域と中部文具工業組合加盟の文具メーカーとの連携プロジェクト、「2023 文具デザインプロジェクト」の最終審査発表会が、2023年7月26日(水)にシヤチハタ株式会社 本社会議室にて開催されました。2023年6月にスタートしたこのプロジェクト、2ヶ月という短い期間ですが、提案を考え資料を作成、モックアップを作ったり実際の機能を試すことのできるサンプルを用意したりと、各学生、準備を整えてプレゼンテーションを行います。プレゼンテーション終了後、最優秀賞、メーカー賞を決定、表彰式が行われました。  プレゼンテーションに先立ち、シヤチハタ株式会社 舟橋正剛 代表取締役社長から「毎年、このプロジェクトを楽しみにしております。われわれメーカーというのは、案外、最終ユーザーがどうやって製品を使っているのか、どんなものを必要としているのか、具体的には知らないものです。自分たちのエゴみたいな部分で商品を作っていることもあり、SNSを利用したり、直接ユーザーとコミュニケーションしたりということを始めていますが、学生さんのほうが一歩進んでいると感じています。今回の皆さんのアイデアやデザインも大変貴重なものであり、良いものは前向きに商品化したいと思っています」とプロジェクトに期待する言葉をいただきました。  今年の課題は、シヤチハタ株式会社「①〇〇な仕事の人に便利なスタンプ・筆記具、②趣味に役立つスタンプ・筆記具」のどちらか、森松産業株式会社「自宅学習をより快適にする卓上用品」です。  学生らは、これらの2つの課題に2023年6月から取り組み、メーカーの担当の方に相談しながらアイデアを練り、模型や試作品を作成してプレゼンテーションに臨みました。最終発表会では13名の学生がプレゼンテーションを行い、各メーカー代表の方々が審査を行います。各自に2案を8分間で説明、質疑応答3分のプレゼンテーション、実際に数々の商品を手がけてきた審査員を前に学生たちは緊張した面持ちで発表を行いました。  審査の結果、最優秀賞はシヤチハタの課題「①〇〇な仕事の人に便利なスタンプ・筆記具」に対し、「ロゴポン」を提案した小野田亘佑さんが受賞。メーカー賞は、森松産業賞 組谷凌我さん「卓上革命児 ARRANGE」、シヤチハタ賞 長友玲人さん「ぴあすた」が受賞しました。  最優秀賞を受賞した小野田さんの「ロゴポン」は、ホテルや飲食店などで見られるトイレットパーパーを三角折するように紙をカット、三角の部分に店舗のロゴマークなどをスタンプする道具で、小野田さんがアルバイトする中であったらいい道具がアイデアの発端になったといいます。プレゼンでは三角折自体の発祥から説明し、トイレの清掃が終わっていることの目印になることや、ホテルやファミリーレストランなど大規模チェーンをターゲットとするなどマーケットも調査してあり、審査人たちから感心する声が聞かれました。  小野田さんのアイデアをはじめ、今回のプロジェクトでは、アルバイト先での自身の経験や普段の生活の中で感じた課題を解決しようとするアイデア、男女問わず香水など香りやピアスやネイルなど身だしなみに関連するアイデア、廃棄物のリサイクルなどSDGsの考えを基にしたアイデアなど、時代性を感じさせるアイデアがたくさん提案されたことが印象的でした。審査員からも、どのアイデアも興味深く、発案したアイデアの背景をよく調べられていることが印象的だったのとの声が聞かれました。  森松産業株式会社 森直樹 代表取締役社長からは「毎年、楽しみにしています。不思議なもので同じ人が発表するわけでもないのに、年々レベルが上がっていっていることを実感します。審査員で話し合った中でも、プレゼンの構成やスライド、話し方、本当にトータルでレベルが上がっていると声が上がりました。皆さんの発想が、それぞれの経験から出てきていることがわかり、非常に興味深く参考になりました。今後とも学生生活の中で、勉強や遊びの中からでもどんどん経験を増やし見聞を広げていって欲しいと思います」と講評をいただきました。  シヤチハタ株式会社 佐藤旭 取締役からは「プレゼンテーション能力、それから質問に対するエビデンス、かなりいろいろな角度で想定されそれに対する調べ含めて、非常にレベルの高いプレゼンテーションをしていただいたと思います。自分の経験に基づいたテーマを選び、それを深掘りし、さらに広げてアイデアを出している、よく考えられたことが伝わってきました。私たちメーカーとしても、皆さんに負けないよう頑張っていきたいと気持ちを新たにしました。今後もこのプロジェクトを盛り上げていけるよう、先生方、関係者の方々にもご指導をお願い致します」とまとめました。  担当の三枝樹成昭講師からは「今後デザイナーとしてかかわっていく上でも、学生にとって非常に意義深いプロジェクトであり、今後もご指導いただけるようお願い致します」とお礼の言葉があり、最終審査発表会は終了となりました。 メーカー賞【森松産業株式会社】 卓上革命児 ARRANGE 組谷 凌我 メーカー賞【シヤチハタ株式会社】 ぴあすた 長友 玲人 最優秀賞 ロゴポン 小野田 亘佑

2023.6.19

産学連携事業 株式会社ファーストとデジタルサイネージの新たな用途開発、最終プレゼンテーション

産学連携事業 株式会社ファーストとデジタルサイネージの新たな用途開発、最終プレゼンテーション  株式会社ファースト様との連携によって始まった新しいデジタルサイネージの用途・形のアイデアを創出するプロジェクトの最終プレゼンテーションが、2023年5月30日(水)に行われました。このプロジェクトには、デザイン領域のインダストリアル&セラミックデザインコース、カーデザインコースの4年生、および大学院デザイン研究科の1年生の合計22名が参加し、それぞれのアイデアが発表されました。  プレゼンテーションには株式会社ファーストから企画開発グループの鈴木雄大氏、製造事業部長の榊原洋介氏、販売企画長の水谷尚志氏、さらに(株)ファーストと関わりのある非常勤講師の中尾協平氏の4名が参加しました。  このプロジェクトの目的は、既存のデジタルサイネージにとらわれない自由な発想を通じて、未来のサイネージの使い方や使用シーンを考え、具体的な形にすることです。学生や院生たちは、各自のアイデアをスライドや動画、ときにはモックアップモデルを使ってプレゼンテーションしました。持ち時間は一人あたり5分、全体では3時間に及ぶ壮大なプレゼンテーションとなりました。  アイデアには、ゴミ箱と組み合わせ行動を促すようなものや買い物カゴ、イベントなどで使われる案内や紙の広告をすべてサイネージに置き換えペーパーレスを押し進めるといった社会課題を解決しようという案。パネルをマットのように地面に置いたり、ネコ型のガイダンスロボットを使い案内するもの、センサーなどを取り付け個別にインタラクティブに使えるよう現在の機能をさらに拡張するような案。神社や祭り、障子紙といった、日本的なものや古いものとの組み合わせることで新しい体験を生む案など、さまざまなアイデアが提案されました。さらに、サイネージの形も、ついたてや屏風のように変形するものから、曲面を使ったもの、立体や透明なパネルなど、バリエーションも豊か。現在では実現不可能であっても、将来はできるようになる可能性を感じさせるものです。また、サイネージで表示するだけでなく、パネルの中だけに存在するバーチャルペットやアートを感じさせる案など、概念として新しいプロダクトの提案もあり、クオリティにもバリエーションにも魅力のあるプレゼンテーションになりました。  最終プレゼンテーションに対する総評では、株式会社ファーストの関係者から非常に好意的な意見が述べられました。製造事業部長の榊原氏は、学生たちから受け入れやすいアイデアがたくさん出てきたと述べ、提案が自身の視点を広げる上で参考になったと評価しました。企画開発グループの鈴木氏は、芸大の学生たちがデジタルサイネージに真摯に向き合い、深く考えた提案をしてくれたと感じ、アウトプットの面白さや収穫も多かったと感謝の意を示しました。また、他の関係者も学生たちの提案に興味深さや面白さを感じ、自身の頭の固さを実感したと述べました。  後藤先生からは、長丁場であったが非常に良いプレゼンテーションだったとの評価があり、三枝樹先生も学生たちが短期間でアイデアをまとめ上手く表現したことを高く評価し、「皆が出したアイデアの中から面白いものを選ぶことでプロジェクトがさらに面白くなると期待しています」とまとめました。  そして、このプレゼンテーションを受けて株式会社ファーストが選考し、最優秀賞1名と優秀賞2名を決定し、2023年6月14日(水)に表彰式が行われました。  今後、後期の講義では実際にサイネージを作っていく予定です。どのような成果物が生まれるのか、今後のプロジェクトが楽しみです。 受賞者の皆さん 最優秀賞 省エネデジタルサイネージ 大学院(ライフスタイルデザイン) 川原 明さん 優秀賞 神明 カーデザインコース 小野田 亘佑さん 優秀賞 DUSTBOX SIGNAGE カーデザインコース 佐々木 貴啓さん 優秀賞 ゴミ箱の投票インタラクティブシステム 大学院(3Dデザイン) ZHANG HAOMIAOさん ■プレゼンテーション資料 大学院(ライフスタイルデザイン) 省エネデジタルサイネージ 最優秀賞 川原 明 カーデザインコース 神明 優秀賞 小野田 亘佑 カーデザインコース DUSTBOX SIGNAGE 優秀賞 佐々木 貴啓 大学院(3Dデザイン) ゴミ箱の投票インタラクティブシステム 優秀賞 ZHANG HAOMIAO カーデザインコース 祭り×デジタルサイネージ 組谷 凌我 カーデザインコース Plug in Plants 柴垣 丈 カーデザインコース Butterfly Concept 長友 玲人 カーデザインコース TRA VISION 松下 滉輝 インダストリアル&セラミックデザインコース お店の雰囲気を変えるデジタルサイネージ 岩瀬 駿之介 インダストリアル&セラミックデザインコース Instant signage 藤野 洋士 インダストリアル&セラミックデザインコース 神出鬼没 ネコウコク 守屋 龍成 インダストリアル&セラミックデザインコース Digital signage Shopping basket 山岸 好子 インダストリアル&セラミックデザインコース Wedding Ceremony × Digital Signage 良知 恵里花 インダストリアル&セラミックデザインコース 電子カルテ─病院における個人用デジタルサイネージ PENG JIAXIN インダストリアル&セラミックデザインコース Sinage mall 土井 唯斗 大学院(3Dデザイン) ストリートアートとデジタルサイネージの融合 余馬 宙帝 大学院(3Dデザイン) one to one 周 逸清 大学院(3Dデザイン) 紙の使用<─>看板 ムンクボルド 大学院(3Dデザイン) art 山内 小猛 大学院(3Dデザイン) 3D臨場型広告サイネージ 劉 傑 大学院(ライフスタイルデザイン) デジタルテーブル 王 芝女亭 大学院(メディアデザイン) 曲面LEDデジタルサイネージ LUO XIANKUN 大学院(ヴィジュアルデザイン) LEDペット ホウ 嘉懿 大学院(ヴィジュアルデザイン) 「透過型」サイネージ 雍 藝

2023.6.9

テキスタイルデザインコース 有松絞りまつりで手ぬぐいを販売

テキスタイルデザインコース 有松絞りまつりで手ぬぐいを販売  テキスタイルデザインコース「有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクト」で、2023年6月3日(土)、4日(日)の二日間、有松絞りまつりに販売ブースを設け、実際に制作した手ぬぐいを販売しました。テキスタイルデザインコースでは、2009年から有松絞りの産地として知られる名古屋市緑区で産学連携授業を実施、学生が有松絞りの技法を学び、オリジナルデザインの手ぬぐいを制作し、販売することを目指しています。実際に手ぬぐいを制作した学生たちは、有松絞りまつりで販売ブースを設け、お客様に商品を説明し、直接販売する貴重な体験をしました。  学生らは2チームに分かれ、商品のコンセプトを考えブランドを設定しそれに合わせて手ぬぐいをデザインして制作。販売するブースもそれぞれのブランドに沿って考えられています。2つのブランドは、「IRUMATS」と「永縁」(えにし)。  「永縁」は、伝統と人のかかわりを感じさせるレトロなイメージで、カラフルでありながらどこか懐かしいイメージです。カラフルな色合い、とりわけオレンジと水色が遠目からも華やかで清々しいイメージです。もう一つの「IRUMATS」は、有松(Arimatsu)と祭り(Matsuri)のアナグラムから作られた名前で、伝統的でありながらもどこか都会的な新しさがあることがコンセプト。スタイリッシュなロゴに象徴されるように、華やかでありながらシックな雰囲気が漂っています。  例年、たいへんな賑わいの絞りまつりですが年々訪れる人が増えています。コロナ禍明けもあってか今回は一層の賑わいです。絞りの浴衣を着た熱心な絞りファンや外国人観光客の姿も見られます。好天にも恵まれ、1日目でどちらのブランドも品薄になるほどの売れ行きとなりました。サンプルとして販売ブースに展示した染めむらのあるB反でもいいので欲しいというお客さんも現れるほどでした。また、販売のため学生らが作った手ぬぐいを使ったTシャツのコスチュームも人気となっていました。  学生からは、実際に自分が作ったものをお客さんの手に取るところを見て感動しました、といった声も聞かれ貴重な経験になったことがうかがえました。  販売は、店舗ブースのほか、絞りの実習でお世話になっている張正さんでも行われ、こちらは藍色に染めた単色のもの、また、2022年の工芸EXPOで制作した張正さんの豆絞りにシルクスクリーンプリントを加えた手ぬぐいを販売。こちらも多くのお客さんが訪れ、商品について説明するなど学生にとって有意義な経験となりました。  絞りまつりでは、本学卒業生もさまざまな場所で出展、活躍しました。有松絞りに新しい感覚取り入れたまり木綿をはじめ、旧山田薬局のA STOREHOUSEにて、テキスタイルコース卒業生 泉奈穂さんとヴィジュアルデザインコース卒業 フリーのグラフィックデザイナーとして活躍する武村彩加さんが出展、こちらも人気を博していました。  本学の学生・卒業生がかかわることで、有松絞りにバラエティが加わり一層の華やかさが加わったように感じる絞りまつりでした。

2023.4.25

産学連携事業 株式会社ファーストとデジタルサイネージの新たな用途開発研究を開始

産学連携事業 株式会社ファーストとデジタルサイネージの新たな用途開発研究を開始  新しいデジタルサイネージの用途・形のアイデアを創出するプロジェクトが、名古屋市のサインメーカー、株式会社ファースト様との連携によって開始されました。このプロジェクトには、デザイン領域のインダストリアル&セラミックデザインコース、カーデザインコースの4年生、大学院デザイン研究科の学生の総勢25名が参加し、後藤規文教授と三枝樹成昭非常勤講師が担当します。2023年4月12日には、プロジェクトの1回目の授業が行われ、株式会社ファーストから企画開発グループ 鈴木雄大氏と製造事業部長 榊原洋介氏にお越しいただき、オリエンテーションとして企業の概要と、サイネージを廻る現状について説明していただきました。  デジタルサイネージが広く使われるようになったのは15年ほど前からで、公共の場や交通機関、店舗などで広報や広告の役割で使われています。今後は、学校や病院、家庭など、より身近な場所でさまざまな用途で使われると予想されているといいます。株式会社ファーストでは店舗の販促用サイネージが主流であり、紙のポスターに較べ、差し替えが容易であり、新しい情報を見せることに適しているというデジタル化による優位性についての説明がありました。また、今後、センサーと組み合わせ、見る人に合わせた情報の提供ができるようになることも考えられます。しかしながら、ネットショッピングが拡大する現在、リアル店舗の価値をどう考えるかということも大きなテーマといえます。また、学校や介護施設といった、これまでサイネージがあまり入っていなかった場所でも活用も考えられるといいます。  プロジェクトの目的としては、デジタルネイティブといえる若い学生が、柔軟な考えで未来を見据えたアイデアを出し、新たなデジタルサイネージの用途、使用シーン、設置場所と形を考え、最終的にはプロトタイプを制作しようというものです。学生たちは5つのグループに分かれてブレインストーミングを行いました。彼らはメモにアイデアを書き留め、分類しました。1時間の作業の後、各グループから代表者がアイデアを発表しました。学生たちが提案したアイデアは多岐にわたり、海中に表示するものやプロジェクションマッピングを利用するもの、スポーツジムでの活用やスポーツ競技そのものをショーアップする案など、実現の可不可とは関係なく学生らしいユニークなアイデアが数多く見られました。各グループはこれらのアイデアを、公共性と個人、現在と未来、場所と事柄といったことを軸にマトリックス図に置き直し分類しました。そこからさらに、案内、広告、教育、空間演出、エンターテインメント、体験、地域活性化、ポータブルなどなど、用途を広げて考えるなどしました。  後藤先生からは「タイプ分けまで作業したところだが、ここからさらに異なった要素を加えてさらにアイデアを広げて欲しい。来週からは、具体的に何を加えるかを考え、広げて考えて欲しい」とコメントしました。また、三枝樹先生からは「この続きとして、マトリックス図の上に違う色のメモを加えていって欲しい。一週間、気にかけて生活していれば何か良いアイデアが浮かんでくるはず」と企画案のさらなる広がりを求めました。  株式会社ファーストの榊原氏からは「デジタルというと、ともすれば冷たいイメージを思い浮かべますが、皆さんの意見を聞いていて、心が動くようなワクワクするものにつながって行くような気がしました。楽しいアイデアが出てくることに期待しています」とまとめ、今回の授業は終了となりました。  今後、アイデア出しを継続、さらに解決すべき社会課題を調査、設定して企画案をまとめ、5月末を目処にプレゼンテーションを行うことになります。後期では、企画案をもとにプロトタイプの制作を行います。

2023.2.1

スペースデザインコース 株式会社ガーデンメーカーとコラボ、「プチART×GARDENプロジェクト」で移動できる庭を試作

スペースデザインコース 株式会社ガーデンメーカーとコラボ、「プチART×GARDENプロジェクト」で移動できる庭を試作  スペースデザインコースでは、株式会社ガーデンメーカー様と2020年から「プチART×GARDENプロジェクト」としてコラボレーション、生活する人に庭を身近に感じ、もっと楽しんでもらうためのアイデアの提案と研究を行っています。今年度は「お庭 x モジュール」のコンセプトで、庭をモジュール化し簡単に設置できることや季節に応じ移動できる商品開発を行っています。2022年5月に稲沢市のガーデンメーカーを訪れ、実際の植木の生産・販売の現場を視察、さまざまなアイデアを検討してきました。2022年10月には最終プレゼンテーションを行い、軽トラックの荷台に積むことができ、季節や設置場所に合わせて大きさや、和風と洋風など好きなように展開できる庭を実際に作成することになりました。2023年1月16日、いよいよ制作したモジュールを軽トラックに積み込み、実際の家にモニター設置してみました。  モニターとして協力するのは、多治見市にある個人宅。軽トラックにモジュールを積み込み、高速道路で向かいます。  モジュール化された“庭”は、60cm×60cmサイズの小、それを2つ並べた120cm×60cmサイズの中、120cm×120cmの大の3種類。軽トラックの荷台には、大と中の2つがちょうど収まります。モジュールは、運搬用のパレットの上に作られ、屋外用のプラスチック水槽を使うなど工夫して軽量化され、大きいサイズでも大人2、3人で運べるようになっています。設置する場合は、まず場所を決めてモジュールを配置、表面に園芸用の砂利や砂を置き、水槽部分に水を入れて池にしたり、鉢植えや根切りした植物を置くようにします。  現地では、庭や玄関先の空きスペースを想定した設置、駐車場や物置を想定した設置、庭のないマンションなどベランダを想定した設置の3パターンを試しました。  陣頭指揮を執るのは、このプロジェクトのリーダーである3年生の早川宗汰さん。場所に合わせて、3種類、4つのモジュールの組み合わせを考え、配置を指示します。大人2人で運ぶことができるといっても、土や砂利を含むとそれなりの重量になるため、注意しながら全員で協力して配置します。場所が決まったところで土と砂利を入れ、植物を植えます。モジュールには、発泡ウレタンを使って作られた岩もあり、一見、チープに見えますが、周りにタマリュウの植え込みを作ると重厚な質感。駒井貞治教授によると、発泡ウレタンで作る岩は、代々スペースデザインコースで受け継がれている制作の技があるのだとか。色合いといい、ユニークさあふれる出来映えです。白い玉砂利を敷き詰め水を張って、池も完成です。玄関先、駐車場、ベランダと3か所に設置してみましたが、いずれの場所でも空間の雰囲気が一変します。組み合わせを考える楽しさや植え込みを作る工夫も感じられ、長く楽しめそうな感触です。  現場を訪れた、(株)ガーデンメーカー マーケティング本部 木場里紗さん、立岡佑亮さんからは「これまで、プレゼンでモデルを見てきましたが、1分の1スケールで迫力があります。実際のサイズになると、作り込みのバリエーションもいろいろ考えられ、さらに発展してアイデアが広がります」といった声が聞かれました。  3か所に設置するには時間がかかるものと思われましたが、軽量化のために内部が空洞化してあり、敷き詰める土や砂利の量も少量で済み、片付けも想定より短時間で完了しました。簡便に扱えるという点で想定以上の結果を確認でき、意義深いテスト設置となりました。