• 学科・領域

  • 形態

2023.1.25

カーデザインコース × 豊田合成「2030年のUX・モビリティデザイン開発研究」最終プレゼンテーション

カーデザインコース × 豊田合成「2030年のUX・モビリティデザイン開発研究」最終プレゼンテーション  デザイン領域カーデザインコースでは、豊田合成株式会社様と連携し、「2030年のUX・モビリティデザイン開発研究」を行ってきました。2022年9月からの後期の講義枠で、豊田合成社員の方々を講師としてお招きし、2030年の社会や自動車を廻る環境を予測し、それをもとに新しいUX(ユーザー体験)を考え、それをデザインに落とし込むという課題を行ってきました。その最終プレゼンテーションを、2022年12月16日(金)に、豊田合成から開発本部 副本部長 川島大一郎氏、開発本部 デザイン開発部長 大松直樹氏をお迎えし行いました。  プレゼンテーションは、4分間の説明に3分間の質疑応答、コンセプトとデザインの背景をまとめたボードを提示、あわせて制作したモデルを手に説明します。  プレゼンは2年生からスタート。それぞれに働き方の変貌や仕事をする状態の変化など、2030年の社会を想定しそれに応える形の提案が続きます。時間に余裕ができ、休日にリラックスするためのモビリティ、乗ることでリラックスできるクルマなど、自動運転の発達により移動中にリラックスできるような提案が多く見られました。また、ハンドルとアクセル、ブレーキといったペダルではなく、身体全体を使って操作するクルマ、足の悪い障害者でもひとりで乗り降りできるバイクなど、社会参加や運転そのもののUXを新しくしようというアイデアも提案されました。  3年生のプレゼンでは、社会の変貌がより細かく想定され、情報技術と自動運転の発達により自動車の所有の概念が変わり、ホテルが移動する個室サービスを提供するアイデア、教育が知識を詰め込むことから体験を重視するように変化し、文科省とコラボレーションするモビリティ、旅行へ出かけそこで物事や人と出会うことを増やすことができる乗り物、また、物理的なものよりもかたちのないものの価値が高まることで、自分の価値について考えることができる内省的な案、個人情報が重視され誰が乗っているか外からわからないようにする提案など、さまざまなアイデアが提示されました。共通することは、事業の提供者を含めた提案が多く、クルマを所有することからレンタカーであったりシェアすることが一般的になっていくと想定する提案が多いこと、また、効率化とは逆のゆっくり走ることや個人情報の重視など、多様な価値観を反映させる提案が印象に残りました。  講評では、川島氏からは「非常に刺激的なアイデアがたくさんあり気付きも多く、若い人たちの考える方向性をもっと知りたくなりました。実際に社内でも未来について考えていますが、今日の提案の多くは今考えていることの延長にはなく、皆さんに将来売るためのクルマは出てこないように思います。考え直す必要があるように感じました。とても勉強になりました」と評価をいただきました。大松氏からは「何ヶ月にも渡り取り組んでくれてありがとうございます。2年生、3年生でレベル感の違いはありますが、想像していたものと異なることがたくさんあり刺激になりました。会社に勤めることにストレスやネガティブな印象があるようですが、たくさんのハピネスもありますよ」と笑わせました。  プレゼンテーションが終わったあとは、講師を務めていただいた若手の社員の方々も交え懇談会となりました。実際に企業で働く方のお話や、アイデアをブラッシュアップさせる提案など、学生にとっても有意義な懇談会となりました。

2022.10.13

山田念珠堂 × ライフスタイルデザインコース「ねんじゅ-catalog of ideas 2022 念珠を『初めての目』で見て、発見する」最終プレゼンテーション実施

山田念珠堂 × ライフスタイルデザインコース「ねんじゅ-catalog of ideas 2022 念珠を『初めての目』で見て、発見する」最終プレゼンテーション実施  ライフスタイルデザインコースでは、大阪上本町の株式会社 山田念珠堂様からの依頼を受け受託事業として、念珠(数珠、珠数、じゅず)に関連する新しい商材の企画、また、情報発信やそのためのメディアの考案・製作など開発支援を行い、そのアイデアを提案するプロジェクトを進めてきました。2022年9月30日(金)、山田念珠堂から山田弘樹様、山田麻香様をお招きし、最終のプレゼンテーションを行い、アイデアをまとめたカタログをお渡ししました。このプロジェクトには、デザイン領域ライフスタイルデザインコースの選抜メンバー、2年 坂部浩二郎さん、菅谷勇斗さん、3年 川部羽瑠香さん、榊原里紗さん、杉山さやかさんが参加、アイデア出しとモックアップの制作を行いました。  念珠は、古くから仏事や法事には欠かせない非常に馴染みの深い仏具ではあるものの、とりわけ学生にとっては、そうした場で携えるものとしての認識はあるもののそれ以上に念珠に関しての知識もなく、プロジェクトは念珠について学ぶことから始まりました。プロジェクトが始まって間もなくの6月、学生らは大阪の山田念珠堂に赴き、念珠のいわれとしきたりについて説明を伺い、製造現場を見学、営業企画-部品調達-製造-出荷に至る製造フローを学び、実際に念珠製作の体験をさせていただきました。  この経験をもとに学生らはさまざまな企画を考えたくさんの素案が挙げられましたが、そこから48案にしぼり、8月末、山田念珠堂様に1次プレゼンテーションを行いました。その結果を受けてブラッシュアップ、最終的に今回23の案を提案しました。  最終プレゼンテーションは、西キャンパスB棟 視聴覚室で行い、学生は自分の提案した企画について実際に制作したモックアップと併せて、企画の詳細について説明しました。提案にはさまざまなバリエーションがあり、念珠の機能としての祈りや願いの心について着目したもの、念珠の素材について考え新たな素材でアプローチしたもの、形状やふさのデザインを考案したもの、珠を数えるという役割や環になった形状から新たな使い方を模索するもの、広く広告戦略を考えた案など、それぞれに特徴のあるバラエティ豊かな提案となりました。  山田弘樹様、山田麻香様からの質問に答える形で対話が進み、和やかな講評会となりました。新素材を使った案には「念珠は、水晶などの宝石や木製でも紫檀や黒檀など、貴重な素材が使われるのが通常で、レジンや木炭、自分が使っていた愛着あるものを念珠に作り替える案なども、サスティナビリティを考えたときに非常に興味深い」、また、市バスのラッピングまで含めた広告展開に関する提案には「これまでに考えたこともなかった、見せ方についても『五感で感じて』というのがすごく良かった」、作り手の職人さんをフィーチャーしたパッケージデザインについては「すごく喜ぶと思う、こうした作り手のことを伝えることも考えていきたい」と、提案それぞれに対しうれしい評価をいただきました。  プレゼン全体の講評として「本当に楽しかった、念珠の世界で仕事をしている人には考えられない若い人の自由な発想が素晴らしいです。歴史のあるものですがそれを守るだけでなく、若い人が使ってみたいと思うようなものを作っていくことも大切だと感じました。面白い案ばかりで、実際に世の中の人の手に渡るように考えていきたいです」。「残すべき伝統もありますが新しいものにもチャンレジしていく必要があり、とても勉強になりました。11月に京都で全国仏壇仏具振興会の見本市がありますが、そこに今日見せていただいたもののいくつかを展示したいと考えています。業界としても大いに刺激になるのではと期待しています」との言葉をいただきました。担当する萩原周 教授からは「今回はアイデアをお渡しするためのプロジェクトでしたが、制作したモデルをそのまま展示することも、またモデルだけでなく展示そのものも含めお役に立てることがあると思いますのでご相談ください。学生としても、もうすこしブラッシュアップしたいという考えもあると思いますので、協力いたします」と応えました。  学生からは「自分の知らなかった新しいことを知ることができて楽しかった」、「これまで携わったことのなかった陶芸工房へ入って焼いてもらい、自分の世界が広がりました」、「モデルを作ることが自分にとって新しい挑戦になりました」との感想があり、学生にとっても知見を広げ、新たな経験となったようです。  制作の苦労と楽しさを皆で共有しつつさらなる広がりを期待させ、プロジェクトは終了となりました。

2022.8.25

いちのみや芸術商店街 美術領域工芸コース、メタル&ジュエリーデザインコース 作品展示 高校生とのコラボ BOXアート展示、作品の販売も

いちのみや芸術商店街 美術領域工芸コース、メタル&ジュエリーデザインコース 作品展示 高校生とのコラボ BOXアート展示、作品の販売も  に合わせて、会場の一つとなっている一宮市では、さまざまなイベントや企画展が開催されます。本学の美術、デザイン、音楽の各領域も、パートナーシップ事業である「いちのみや芸術商店街」の企画・運営に参加、作品の展示と演奏会を行います。美術領域工芸コースとメタル&ジュエリーデザインコースは2022年8月9日(火)〜11日(木・祝)に一宮本町商店街のアーケードとその周辺に作品を設置しました。 国際芸術祭「あいち2022」 I・T・Kビルでは「BOXアート」を展示  「BOXアート」は、本学で一宮市の高校生を対象としたワークショップで制作されました。30センチ角の木箱に尾州織物の廃材等を用いて作られ、本学の111名の学生も「BOXアート」を制作しました。木箱のひとつひとつには作った人の内面や空想などが表現されており、個性が際立ち見応えのあるものになりました。一宮駅近くのI・T・Kビルでは、完成した約200個もの木箱を組み合わせ、ひとつの展示となっています。制作に参加した木曽川高校の生徒からは、「作っていて楽しかった」、「芸大生の作品と並べると見劣りするのではと思いましたが全体で見ると統一感があって安心しました」などの声が聞かれました。 会期前日には関係者を招いてI・T・Kビルで内覧会が開催  中野正康 一宮市長、一宮本町商店街振興組合代表、銀座通商店街振興組合代表ら、関係者を招いて内覧会が開催され、本学からは米山和子 教授、中田ナオト 准教授が出席しました。中野市長は会場に集まった関係者や学生達を前に、これまでの努力に謝意を述べ「多くの分野の方のお力添えをいただきまして「いちのみや芸術商店街」の企画をスタートできることを楽しみにしています」と挨拶されました。 美術領域工芸コースとメタル&ジュエリーデザインコースが作品を設置  2022年8月11日(木)には、メタル&ジュエリーデザインコース、美術領域工芸コース(陶芸・ガラス)の学生が、一宮駅から一宮本町商店街の思い思いの場所に作品を設置しました。あらかじめ学内で制作された作品を運び込み設置するものもあれば、その場でシャッターに絵を描くなど作品もそれぞれ。炎天下の中、準備を行いました。大きなものでは、銀座通りのロータリーに設置した陶の作品や高さ2mを優に超える金属作品など、小さなものでは電力メーターのボックスの中にあるミニチュア作品といったものもあり、商店街を歩きながら作品を探す楽しみもあります。設置に際して、展示場所を提供してくださったお店の方々にもご協力いただき、学生との交流も生まれ、そのこと自体とても意味のある展示となりました。お店の方々をはじめ、設置の様子を眺める近隣の方々や、あいち2022に訪れた方からも声をかけられたり写真を撮られたりと、注目度の高さもまずまず。一般の方から作品について感想をいただけるのもこうした野外展示の魅力であり、非常に良い経験になるのではないかと思われます。 一宮駅前のアパホテルでも卒業生を中心に作品を展示、販売  一宮駅前のアパホテル(尾張一宮駅前)ロビー、レストラン「アンシエーヌ」では、印刷表現を拡める活動をする「Print for Sale」が、卒業生と学生の作品を展示、販売しています。ロビーでは、グッズやヴィジュアルデザインコースの学生によるTシャツを販売、レストランでは版画作品、ファブリックパネルを展示しています。  国際芸術祭「あいち2022」パートナーシップ事業の「いちのみや芸術商店街」にはこのほか、テキスタイルデザインコースの展示、また、10月には音楽領域の演奏会と盛りだくさんの内容です。一宮へお越しの際には、ぜひお立ち寄りください。

2022.8.8

テキスタイルデザインコース いちのみや芸術商店街 尾州織物の廃棄素材を使った作品を展示

 川邊さんの作品には、コラージュのほか2年生ではまだ授業で行っていない染めの技術も用いられています。「染めは3年生の授業でやるのですが、今回やってみたくて先生にやり方を聞きながら制作しました。思っていたよりも制作に時間がかかり、学校に遅くまで残ってなんとか仕上げることができました」。  3年生の藤川さんは、裏面にも対になるデザインを考案したものの上手くいかなかったのだとか。「裏にも端耳を付けようと思いやってみましたが、ミシンに糸が絡んで上手くいかず断念しました。やはり制作に時間がかかり、大きな袋に詰めて持って帰り自宅でも作業しました。模様は付けられませんでしたが裏面には縫い目が出ています。きれいに仕上がっているので裏も観て欲しいですね」。  4年生の江口さんの作品は端耳をたくさん使い印象的な模様を描き出しています。「模様からウールの良さが見てもらえればいいなと思います。卒業制作もあるので時間を決めて効率的にやろうと努力しました。朝早いうちに学校へ来て、ミシンが空いてる午前中に集中して作業しました」と3者それぞれに工夫を凝らし制作したことが作品からも伝わってきます。 テキスタイルデザインコース いちのみや芸術商店街 尾州織物の廃棄素材を使った作品を展示  に合わせて、会場の一つとなっている一宮市では、連携事業としてさまざまなイベントや企画展が開催されます。本学の美術、デザイン、音楽の各領域も、パートナーシップ事業の「いちのみや芸術商店街」に参加、作品の展示と演奏会を行います。テキスタイルデザインコースは、一宮本町商店街のアーケードに尾州織物の廃棄素材を使った作品を40点展示、2022年8月2日(火)に設営を行いました。 国際芸術祭「あいち2022」  作品名は「祈織(いのり)」。一宮本町商店街は、真清田神社の門前町として栄える商店街で、盛大な七夕の飾りで知られています。祈織(いのり)と命名したのは3年生の水野那美さん。織物の神様を祀る真清田神社の七夕飾りに因み、織物産業の発展とこれまで受け継がれてきた伝統が続くことへの「祈」りを作品に「織」り込むということを表します。作品は、学生がそれぞれ、尾州織物の廃棄素材である端耳をもらい受け、布にコラージュする形で制作されています。モチーフとしては、星や天の川、短冊など七夕飾りを連想させるものも観られます。いずれの作品もフワフワとした尾州の毛織物の柔らかさが印象的です。扇千花教授によれば、制作時期、尾州では秋冬物の生地を織っているタイミングで、端耳も落ち着いた色調になっているとのこと。学生らは、ベースとなる布とこれらの端耳を上手く組み合わせ、カラフルな作品を作り上げています。  アーケードの中心部、ドームになった部分には、1.5m×4mの一際大きな8枚の作品が飾られています。このうちの3作品を制作した、2年 川邊ななさん、3年 藤川裕樹さん、4年 江口桃世さん、にお話を伺いました。 川邊さんの作品 藤川さんの作品 江口さんの作品  すでにテキスタイルデザインコースの作品はいつでも見られますが、この後、メタル&ジュエリーデザインコース、美術領域工芸コース(陶芸・ガラス)の作品も商店街周辺に設置され、本学学生の作品が一宮の街を彩ります。また、一宮駅近くのI・T・Kビルでは、本学と一宮市の高校生、中学生、小学生とコラボレートし制作した作品を展示。本学卒業生の作家が中心となって展示を行うPrint for Saleも一宮駅アパホテルにて開催されます。期間は2022年8月10日(水)~10月10日(月)(I・T・Kビルは月曜休)、国際芸術祭「あいち2022」と合わせ、ぜひご覧下さい。

2022.8.1

デザイン領域 産学連携企画 中部文具工業協同組合「2022 文具デザインプロジェクト」最終発表会 最優秀賞は2名に

デザイン領域 産学連携企画 中部文具工業協同組合「2022 文具デザインプロジェクト」最終発表会 最優秀賞は2名に  2022年7月27日(水)、デザイン領域と中部文具工業協同組合との産学連携企画「2022 文具デザインプロジェクト」の最終発表会を開催、優秀賞が決定しました。デザイン領域で例年行われているこのプロジェクト、最終プレゼンテーションは今年もシヤチハタ株式会社本社会議室をお借りして行い、審査の結果、最優秀賞とメーカー賞を決定、表彰式を行いました。  今年度の課題は、森松産業株式会社「デスク周りを使いやすく! 持ち運べる収納グッズ」、シヤチハタ株式会社「暮らしを助ける、新しい用途のスタンプ」の2題。例年ならば学生は課題をひとつ選択して進めますが、今年は15名全員がどちらの課題にも取り組み、30案のプレゼンテーションとなりました。6月のテーマ発表から、2ヶ月弱の期間で2案制作と厳しい条件でしたが、ユニークなアイデアが数多く見られました。  審査は、シヤチハタ株式会社 舟橋正剛 代表取締役社長、森松産業株式会社 森直樹 代表取締役社長の2名を中心に5名の審査員で行われ、①ターゲットは明確か ②シナリオは具体的か ③アイデアは魅力的か ④ユーザーが使いやすいデザインか ⑤発表は分かりやすかったか、の5つの項目で採点、合計点での評価となります。  発表に先立ち、シヤチハタ株式会社 舟橋社長から「毎年、この発表では目から鱗が落ちるような提案をいただき感謝しています。我々が携わる文具の市場もコロナ禍の影響を受け、これまで以上に幅広く考えていかなければならない状況です。しかし、逆にいえばチャンスの時期ともいえます。学生さんの柔軟なアイデアは大いに刺激になり、どんな提案が出てくるのかワクワクしております」と挨拶がありました。  プレゼンテーションは、1案につき4分、ひとり8分ずつの説明と質疑応答です。休憩をはさみながら3時間以上、壮大な発表会となりました。長丁場となりましたが、どのアイデアも興味深く、テンポ良く説明が進み飽きさせません。質疑の時間もプロダクトの背景を聞くものが多く、まるで学生世代の感覚を知ろうというリサーチのようになりました。印象的だったのは、学生らがアルバイト先での経験を基に発案しているものがいくつかあったこと。自身の経験に基づいて課題解決しようという考え方がデザイン領域の学生らしく、提案にも説得力を感じました。  審査の結果、森松産業賞は、金田太典さんのひざの上でパソコンを使うのに便利な鞄「テレワークかばん」、シヤチハタ賞は、アイドルのコンサートでファンサービスをもらうためにアピールする“ファンサうちわ”を簡単に制作できるスタンプマシーンを提案した仲田亜利沙さん「推し活を便利に」が受賞しました。最優秀賞はなんと同点で2名が受賞、佐村拓音さんの「フットメジャースタンプ」と再び金田太典さんの「おままごとスタンプ」が受賞となりました。「フットメジャースタンプ」は、佐村さんが靴量販店でのアルバイト経験から考えられたもので小さな子どもの足のサイズをスタンプを利用して簡単に計る道具、「おままごとスタンプ」は、香りの付いたスタンプを重ねて押すことで料理や普段匂いを嗅いだことのないものの香りを楽しむことができるようにするもの。両名には、それぞれ賞品が贈られることとなりました。  最後に講評として、森松産業株式会社 森社長から「今回もアイデアの幅の広さに驚かされました。プロダクトは、まずアイデアがありそれをどうやって実現するか、さらにどう量産化するか、できてからでも改善点を探るなど、幾重にも大変なステップがあり、その都度苦労があるものです。しかしながら、最初の起点はアイデアを出す人の思いであり、どう実現するかはひとまず置いておいて、発想を大事にして欲しい」との言葉がありました。シヤチハタ株式会社 佐藤旭 取締役からは「具体的に自分たちが困ったことを解決していく、この姿勢がよく現れていてZ世代の考え方なのかなと感じ入りました。さまざまな解決策もさることながら、皆さんのニーズそのものが非常に参考になりました。靴量販店だけでなくドラッグストアや飲食店でのアルバイト経験のお話を伺い、さまざまなところにニーズがあることを改めて思い起こさせていただきました」とお話しくださいました。  担当する三枝樹成昭 非常勤講師からは、「狙ったとおりの今どきのアイデアを提案することができました。また、日々の経験から出てくるデザインを我々も体験できたのではないかと思います。デザインの価値は、使っている人の経験に響きそれに対応できるかというところにあると思いますが、受賞作品はいずれも使っているシーンをよく感じられるもので、そうした点が評価されたのだと思います」と述べました。表彰式には、現在、シヤチハタ 商品企画部所属で学生時代にこのプロジェクトにも参加したインダストリアルデザインコース出身のOB 安田駿太さんも飛び入り参加、和気あいあいとした雰囲気の中、最終発表会は終了となりました。

2022.7.6

デザイン領域 産学連携企画 中部文具工業協同組合「2022 文具デザインプロジェクト」キックオフ

デザイン領域 産学連携企画 中部文具工業協同組合「2022 文具デザインプロジェクト」キックオフ  2022年6月8日、西キャンパス U102教室にて、本学と中部文具工業協同組合加盟の文具メーカーとの産学連携企画「2022 文具デザインプロジェクト」 1回目のミーティングと説明会を行いました。文具デザインプロジェクトは例年行われているもので、3年次までに習得したデザイン技術や知識を用い、商品や製品の企画、調査、開発、製造、販売までを見据えデザイン提案を行うもの。実際にこれまでの優秀作品が製品化されたこともあり、学生はもちろん企業にとっても非常に大きな意味を持つプロジェクトです。今年は、スタンプ・ネーム印でおなじみのシヤチハタ株式会社様、デスクマットやコロナ対策のパーティションなど樹脂製品の製造を行う森松産業株式会社様の2社に参加いただき、15名の学生が2社それぞれの課題に対し、デザインを提案することとなります。  はじめに、各社から会社概要の説明と課題の発表が行われました。森松産業の課題は「デスク周りを使いやすく! 持ち運べる収納グッズ」。森直樹社長から、ポリ塩化ビニルやポリプロピレンを素材にした製品とプレス機やカッティングプロッターなど簡単に工場設備を紹介していただきました。課題に対しては、最近ではオフィスで自分の席を決めずノートパソコンなどを活用して好きな場所で働くフリーアドレスを採用する企業が増えてきており、コロナ禍もあり出勤する人が減り、自宅やカフェなどでも活用できる持ち運べて収納にも便利なグッズを考えて欲しいと説明がありました。付け加え、資料などのデジタル化のメリットや逆に対面でないデメリットなども考慮して考えて欲しいとありました。  シヤチハタ株式会社からは「暮らしを助ける、新しい用途のスタンプ」という課題が出されました。シヤチハタは企業として「人の想いに応える『しるしの価値』を提供する」ということを目指しており、「はんこの新たな価値を創出する」ことが社命として挙げられています。今回の課題はその考えに沿ったもので、企業の本気度が窺えます。日常の生活の中で、しるしを上手く使えば助かることをぜひ見つけて欲しいと説明がありました。考えるヒントとして、やりたくないけど仕方なくやっていること、やりたいけれど方法がないからやれないことの2つを挙げ、自分に当てはめて考えて欲しいとアドバイスしていただきました。両社からは過去の優秀作品などの説明もあり、優秀作品には商品化があることも発表されました。 後半は、学生ひとりひとりの自己紹介と質問を受けつけ、ディスカッションとなりました。学生がこれまでに制作した作品について質問を受けたり、逆に企業側でできることや試作品についてなどの質問をするなど、意見交換が行われました。担当する三枝樹成昭 非常勤講師からは、文具というと鉛筆や消しゴムなど机上にあるものを想像しますが、はんこも文具であり鞄やデスク周りの収納なども含むよう幅広く設定しているのでいろいろな発想をしてもらえればいい、とコメントがありました。 今後の進め方としては、隔週で森松産業からは森社長、シヤチハタからは商品企画課 松田孝明さんに本学にお越しいただき、学生のアイデアをブラッシュアップし、実際に製品化可能なレベルに近づけるようにしていきます。2ヶ月後に最終プレゼンテーションを行い、最終審査となります。どんなデザイン文具が出てくるのか、楽しみなプロジェクトです。

2021.8.16

株式会社菊谷生進堂×インダストリアル&セラミックデザインコース 「香源プロジェクト」最優秀賞決定

株式会社菊谷生進堂×インダストリアル&セラミックデザインコース 「香源プロジェクト」最優秀賞決定  株式会社 菊谷生進堂 様とデザイン領域 インダストリアル&セラミックデザインコースとの連携プロジェクト「お香文化を楽しむ新しい道具のデザイン開発 (香源プロジェクト)」の最終プレゼンテーションテーションと優秀賞の発表が、2021年8月10日(火)に行われました。現代の生活にマッチしたお香の新製品を考えるという課題で、2ヶ月という短い時間でしたがユニークな発想のものや実用化も十分可能と思わせる新商品の提案など、さまざまなアイデアが発表されました。  プレゼンテーションはひとり5分程度で、質疑応答というよりも菊谷生進堂 菊谷勝彦代表取締役社長、菊谷進之介専務取締役とともにアイデアのブラッシュアップを考えるような和やかな雰囲気で行われました 。学生は、アイデアの基になった考えの背景や解決したい課題を説明し、それに対応する商品を画像で説明します。試作品を作り込み、実際にお香を焚いて煙の様子や想定通りに使用できるか検証した作品もあります。学生らは自分と同世代の消費者にお香が浸透していない理由を考えつつ、近年の住宅事情に合わせたデザインや色の香炉、アロマオイルやリラクゼーションのようにもっとカジュアルに使えるようにしたもの、価格を抑え手に取りやすくしたもの、お香が好きな人がもっとマニアックに楽しめる商品など、さまざまなアイデアを提案しました。制作期間が2ヶ月という短い時間しかありませんでしたが、いずれも完成度が高く、実現できそうなものがたくさんありました。  プレゼンテーション終了後、優秀賞と最優秀賞を菊谷生進堂と後藤規文教授で決定、発表となりました。最優秀賞は大学院1年生 青山健太郎さんの「時計のない生活」、優秀賞は3年生 吉野廉平さん「INCENSE HOLDER」が受賞となりました。  青山さんの「時計のない生活」は、お香が燃える時間で時を計る時香盤を使いやすくする商品で、時香盤は灰の上に抹香(細かい粉末のお香)を帯状に敷いて使いますが、あらかじめプレートを用意しておきスタンプのように簡単に抹香を敷くことができるようにしたもの。用途に合わせて幾何学模様や猫をモチーフにしたデザインのプレートも用意され、現代の生活の中でも違和感なく時香盤が使えるようになっています。代表取締役社長の菊谷氏から「ちょうど興味を持っていた分野で、これから仕掛けたいと思っていた領域にぴったりです。もちろん、質も高く素晴らしいです」と講評をいただきました。  優秀賞の吉野さんの「INCENSE HOLDER」は、お香を初めて使う人が香炉など道具を揃える必要がないように、パッケージがそのままお香立てになる商品。価格も抑えて気軽に購入できるように考えられています。菊谷氏からは「商品化しやすいことがポイント。若い人にも手軽に楽しんでもらえる商品になると思います」とコメントをいただきました。  後藤教授は「期待していた以上にクオリティが高くそれぞれ自分なりに面白いテーマを扱ってもらえたのではないかと思う。産学連携の機会を活用してリアルな商品開発に近い経験を積んでいって欲しい」と講評しました。また、菊谷氏からは「全員とても良いアイデアで候補がたくさんあり審査は大揉めに揉めました、商品化できそうなものばかりで、ぜひ、今後とも一緒に商品を作っていきたいです」と嬉しいお言葉をいただきました。

2021.8.16

産学連携企画 中部文具工業組合「2021 文具デザインプロジェクト」最終審査発表会を開催

産学連携企画 中部文具工業組合「2021 文具デザインプロジェクト」最終審査発表会を開催  例年行われている本学デザイン領域と中部文具工業組合加盟の文具メーカーとの連携プロジェクト、「2021 文具デザインプロジェクト」の最終審査発表会が、7月28日(水)シヤチハタ株式会社 本社会議室にて開催されました。6月にスタートしたこのプロジェクト、2ヶ月という短い期間ですが、提案を考え資料を作成し、この最終審査発表会でプレゼンテーションを行います。発表後、審査され最優秀賞、各メーカー賞を決定、表彰式が行われました。  今年の課題は、株式会社馬印「コロナ後のカキ・コミュニケーション、(サブテーマ)つながる黒板・ホワイトボード」、シヤチハタ株式会社「もともとの価値を拡張した文房具」、森松産業株式会社「自分の仕事環境を作る フリーアドレス快適化グッズ」。学生らは、これらの課題に2ヶ月間取り組み、各メーカーの担当者に相談しながらアイデアを練り、場合によっては模型や試作品を作成してプレゼンテーションに臨みました。最終発表会では17名の学生がプレゼンテーションを行い、各メーカー代表の方々が審査を行いました。  プレゼンテーションは、説明3分質疑応答2分と短いものですが、実際に企業で数々の商品を手がけてきた審査員を前に学生たちは緊張した面持ちで発表を行いました。  審査の結果、最優秀賞は馬印様の課題に対し、「折れないチョークホルダー」を提案した古川達也さんが受賞。メーカー賞は、馬印賞 小椋巧海さん「スライドホワイトボード」、シヤチハタ賞 佐藤祐貴子さん「いつでもそばにペンとメモ」、森松産業賞 玉置晨さん「オフィス内におけるフリーアドレス用ファイルマット Osi-Filemat」が受賞しました。  最優秀賞を受賞した古川さんの「折れないチョークホルダー」は、チョークをシャープペンシルの芯のように扱い、バネでクッション性をもたせ折れないようにするもの。機能性に加え質感やデザイン性にも配慮し、長く使うことで風合いが生まれ万年筆のように愛着を感じることのできるものを考案しました。審査では、チョークという消耗品を万年筆のように個人の嗜好や個性を表すことのできるアイテムへと昇華させている点が高く評価されました。古川さんは、知り合いの教員や教育実習に行った友人の話からアイデアを得たと説明しましたが、今回のプロジェクトでは同じように自身のアルバイトでの経験や友人の体験などから発想されたものが多く、身近な困りごとを解決しようとする実際的な提案が印象的でした。学生らしく新しいトレンドを取り入れつつも実現性を考えてアイデアが練り込まれており、企業との連携の意義を感じさせました。  講評では、株式会社馬印 千嵜匠氏から「数年前から文具プロジェクトにかかわってきましたが、初めて最優秀賞を受賞できて非常に嬉しいです。本社で盛大に報告したいと思います。点数は付けたものの、どれも豊かな発想で考えられており素晴らしいものだと思います。2022年にはオフィス家具の見本市『オルガテック東京』に弊社も出展する予定ですが、展示のどこかに学生のアイデアを入れ込めないかと考えております」と、嬉しい評価をいただきました。  担当の三枝樹成昭講師からは、「使う人のことを考え、その人がどんな体験をできるかということに着眼し、楽しくワクワクできるできるデザインを目指してやってきました。ユーザーを大切にしながら自分の発想を乗せていくことの大事さが、学生たちにも伝わったことと思います。短期間ながらも、大学とものづくりの世界を結ぶことの大切さ、ことに今回は学生に工場見学の機会をくださったこともあり、多くの人が携わり、ひとつの製品ができていると感じることができたのではないかと思います。今後デザイナーとしてかかわっていく上でも、学生にとって非常に意義深いプロジェクトであり、今後もこのプロジェクトを続けていきますのでご協力をお願いします」とお礼の言葉がありました。  ものづくりの現場を見ることや実際に企業で開発を行う方々と直接触れ合うことで、学生たちにとって非常に大きな経験になったことと思われます。 プレゼンテーション風景 受賞者

2021.7.13

株式会社菊谷生進堂×インダストリアル&セラミックデザインコース「お香文化を楽しむ新しい道具のデザイン開発 (香源プロジェクト)」始動

株式会社菊谷生進堂×インダストリアル&セラミックデザインコース 「お香文化を楽しむ新しい道具のデザイン開発 (香源プロジェクト)」始動  デザイン領域 インダストリアル&セラミックデザインコースでは、株式会社菊谷生進堂(以下、菊谷生進堂)と連携し、「お香文化を楽しむ新しい道具のデザイン開発 (香源プロジェクト)」という、お香文化を楽しむ道具を提案するというプロジェクトに取り組んでいます。  菊谷生進堂は、「香源」というブランドで名古屋市に本社、銀座、上野にも店舗を置くお香の老舗。インターネット販売や海外への通信販売を手がけるなど、お香についての情報発信、新しい商品やサービスの提案を通し、お香文化を広く伝えることを経営理念として活動しています。今回のプロジェクトでは、お香文化の歴史や伝統を踏まえつつ、現代の生活にマッチした香源ブランドの新商品のコンセプトを考案し提案するというものです。  2021年7月1日に行われた授業は、プロジェクトの第1回で菊谷生進堂 菊谷勝彦代表取締役社長にお越しいただき、予備知識としてお香についての講義を行っていただきました。  講義に先立ち、担当する後藤規文教授から、学生はお香について馴染みがないかもしれないが、今回に限らずプロダクトを考える上では「コト」というところから発想することがとても大事であり、「モノ」を作る前にその世界観をできるだけ拡げて考えて欲しい。デザインの提案というと不便を見つけその問題を解決するというやり方で普段は考えているが、今回は理想的な生活の創造、お香という馴染みのないものを自分の生活に取り入れるためにはどうあるべきか、どんな道具があればいいか、そうしたことを考えてその世界観を模索して欲しい、とプロジェクトの趣旨が説明されました。  菊谷氏の講義は、お香の素材、たくさんのお香の商品、お香を楽しむための道具が用意され、文字通り香りを感じながらのお話となりました。はじめに菊谷氏からは、お香屋さんが考えるとこういう商品になってしまう、今回はこうした現状をお伝えするので学生の皆さんでぜひ新しいものを考えて欲しい、いわばこちらからの悩み相談です、と挨拶がありました。  講座は、まずお香の基本的なことの説明から始まりました。お香には七種類あるといいます。ひとつ目はお香の原料にもなる香木。白檀、沈香、伽羅の三種類で、香炉で熱を加えると香るものです。香木は、線香や匂い袋の原料にもなるお香の中心となるもので、非常に高価なものでもあります。二つ目は匂い袋で、香木や香原料を刻んで常温で香りが出るようにしたもので、火を使えない場所でも香りを楽しむことができます。もともとは虫除けとして使われたのがはじまりといいます。ほかには、茶の湯の席で使われるお香の原料に蜜を入れて練った煉香、一般的に知られよく使われている線香、葬儀や法事で使われる香木や香草などを細かく刻んで混ぜ合わせた焼香、仏教で身体に塗り身を清めるために使う香原料をパウダーにして携帯できる入れ物に入れた塗香(ずこう)、椨(タブノキ)を粉末にし香木や焼香を焚くときの導火線の役割として使う抹香。これら七種類のお香を紹介しつつ、場や自身を清めるために使われたことや、燃え終わるまで一定の時間がかかるため時間を計るタイマーのように使われたことなど、お香の役割を説明していただきました。また、それにあわせ、これまでに企画された商品の紹介、燃やすタイプのものであれば灰が落ちることや燃えない部分が残ってしまう香炉の問題なども紹介してしていただきました。  お香の文化としては、時間を計るための時香盤といった道具や古典に登場するお香のエピソード、香りの異同を鑑賞する香道とそこで用いられる源氏香の図、香道と名古屋にお香が伝わった歴史的な背景なども解説していただきました。  説明のあと、学生らは、実際にお香を焚いて香りを確認したり、香木そのものや香炉、商品を手に取りパッケージや問題点を個別に聞き取ったりしました。学生らは、自分の生活や利用シーンを想像し、さっそくアイデアを検討している様子でした。このあと講義は7週に渡り行われ、8月に最終プレゼンテーション、展示発表が行われます。新しい視点でのアイデアが期待されます。

2021.7.6

三和興産株式会社ワーキングスーツのデザイン開発プロジェクト 最終プレゼンテーションと審査結果発表・表彰を行いました

 プロジェクトには本学ID・CDコースの4年生・3年生、そして大学院生の計30名の学生が参加、2021年4月からの実技授業の枠でデザイン案を作成しました。計8回の授業でデザイン完成というタイトスケジュールでしたが、本学教員をはじめ、三和興産・未来縫製スタッフの皆さんからアドバイスをいただきながらデザインレベルを高めていき、本日無事「最終プレゼンテーション」を迎えました。  本日の講評で評価の高いデザイン案は、担当教員のフォロー作業を経て三和興産のワーキングスーツとして専門メーカーである未来縫製により実際に製作されるだけに、会場には期待と緊張が入り交じった独特の雰囲気が漂います。  そして、本学後藤規文教授の進行により最終プレゼンテーションがスタートしました。学生達は個人やチームに分かれて、スライドや実物の模型を使いながら作品をアピール、4〜5組発表したところで木村徹客員教授・片岡祐司教授による質疑応答の後、三和興産の田中一秀代表取締役と未来縫製の福田穣代表取締役に寸評をいただく、という流れで進みました。  しっかりとしたリサーチを披露する学生や自らの実体験を基にした説得力のあるコンセプトメイクで審査陣を唸らせる学生、「いやぁ、かっこいいね!」と声をかけられる学生や模型を自ら着用しながらアピールする学生など、見応えある内容のプレゼンテーションが続きました。 大学院デザイン研究科1年 インダストリアルデザイン4年 大学院デザイン研究科1年 三和興産株式会社ワーキングスーツのデザイン開発プロジェクト 最終プレゼンテーションと審査結果発表・表彰を行いました  本学芸術学部デザイン研究所及び、デザイン学部インダストリアルデザイン&セラミックデザインコース(以下、IDコース)、カーデザインコース(以下、CDコース)では、地元のリサイクル及び環境、インフラ企業である三和興産株式会社(以下、三和興産)の依頼により、2021年度に『三和興産ワーキングスーツのデザイン開発プロジェクト』を受託、デザインを実技授業内で開発することとなりました。 経緯  三和興産は産業廃棄物のリサイクル活用を積極的に研究しており、今回のワーキングスーツの開発においても、モデル製作や製品化において同じくリサイクル業態で実績をもつ地元企業の有限会社未来縫製(以下、未来縫製)と連携し、環境に配慮した製品を目指しています。本学においても環境をテーマにしたデザイン開発は地球温暖化対策に貢献し、大変意義深いことと考え、プロジェクトを受託しました。 期待と緊張〜6月24日の最終プレゼンテーション 有限会社未来縫製 福田穣代表取締役 コメント  私達は長くファッションや作業着の仕事に携わっていますが、最近の作業着に求められるものについては従来の「安全性」「着やすさ」に加え、最近は「ファッショナブル・スタイリッシュ」であることや「環境・エコ」に配慮したものであることが重要視されるようになってきました。  そういう意味で、皆さんが今日発表した作品は(これらを含んでいるので)すべて正解と言えて、後は作業着を必要とする個々の会社が重視するものはどれかによって選ばれる作品が変わってくると思います。今回賞に選ばれない作品の中にも、後の作業着に変革をもたらすヒントが隠れているかもしれません。  一方、そのヒントがはっきりするように、もっとテーマを突き詰めて絞り込んでもよかったかと思います。(ニューヨークの「一風堂」が新たに取り入れたスタッフ用ユニフォームのデザインを紹介しながら)結果的に「突拍子もない」と受け取られるような作品があってもよかったと思います。 三和興産株式会社 田中一秀代表取締役 コメント  まずもって先生方、これまでご指導をいただきましてありがとうございます。そして学生のみなさん、このような素晴らしい機会に立ち会わせていただきありがとうございます。二週間前に皆さんの最初デザイン案を見せていただいたとき「今までなかったものが現実にかたちになり自分の目で見ることができる」ようになって私はとても感動しました。そして、あれからたった二週間で(先生方のご助力があったとは思いますが)デザインが洗練され、コンセプトがはっきりとしました。みなさんの作品から三和興産に対する「愛情・愛着」を大いに感じ取り、さらに感動した次第です。  思えば、私は親や周囲からの愛情を受け成長し、その私は愛情をもってこの会社を成長させてきました。人も企業も「愛情・愛着」なしでは存在しえないというのが私の考えです。 木村徹客員教授 コメント  皆さんお疲れさまでした。今プロジェクトはスタートこそ若干の不安はありましたが、そこは先生方の指導と学生諸君の頑張りである程度の水準でプレゼンをまとめ上げることができたのは素晴らしいことだと思いました。この後審査選考の上、最優秀の作品は実際の制服のデザインとして検討するチャンスを与えられる訳ですが、当然ながら皆さんはまだプロではないので完成度にはギャップがあり、教員と未来縫製さんの手が入ることを前もってお知らせしておきます。 片岡祐司教授 コメント  実はこのプロジェクトのお話があったときに、プロダクトデザインを中心に学ぶ本学学生なので、ファッションデザインの領域を多く含むこの案件をお受けするかどうか少し悩みましたが、杞憂だったようです。ファッションデザインのイラストもこなす学生に「別の才能」を発見したのは収穫でした。よいプロジェクトになったと思います。 審査結果発表  プレゼンテーションは順調に進んだ印象だったのですが、新型コロナワクチンの大学拠点接種のスケジュールが授業時間と重なるという今年ならではの事情もあって、最終審査の時間が十分に確保できなかったので、審査結果発表・表彰は7月1日に持ち越され、受賞者3名が改めて招集され表彰されました。 最優秀賞 陳雪晴 優秀賞 SOH YUN PING 優秀賞 辻村大地 三和興産株式会社 田中一秀代表取締役 寸評  先日もお話ししました通りどれも優秀な作品で選考には本当に苦労し、改めて選考基準を決めるところから始めました。コンセプトやデザインが私共の想いに一番リンクする作品を選ばせていただきました。  陳さんの作品は、実現可能なデザインで弊社の10年後に向けてのテーマを追求してくれました。社員の多くが「これだね」と気に入っていた様子です。  SOHさんの作品は弊社の名に含まれる「和」の字からの着想や所在地である一宮市の地域活性化もコンセプトメイクに加えていただいたことが素晴らしかったです。「着てみたい」と思いました。  辻村さんの作品は「ガンダム」「ドラゴンボール」世代の支持を受けました。これを着たら元気になること間違いなしですからね!(笑)。社員の気持ちが高揚することは意欲と安全意識の高まりにも繋がりとても有益です。  満足そうに記念写真に収まる受賞者と田中一秀代表取締役に今回のプロジェクトの意義を強く感じました。スーツの完成が待ち遠しいです。 有限会社未来縫製 福田穣代表取締役 三和興産株式会社 田中一秀代表取締役 木村徹客員教授 片岡祐司教授 受賞作品 最優秀賞 陳雪晴 大学院デザイン研究科1年 優秀賞 SOH YUN PING インダストリアルデザイン4年 優秀賞 辻村大地 大学院デザイン研究科1年 左より、三和興産株式会社 田中一秀代表取締役・辻村大地さん・陳雪晴さん・SOH YUN PINGさん