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2024.2.27

古川美術館プロジェクト2024「メイゲイのコウゲイ」を開催

古川美術館プロジェクト2024「メイゲイのコウゲイ」を開催  美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)、デザイン領域テキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーコース(2024年度1年次入学生から工芸コースへ移行)と古川美術館・分館爲三郎記念館とのコラボレーション企画、古川美術館プロジェクト2024 「メイゲイのコウゲイ」を2024年2月6日(火)~18日(日)に開催しました。2月5日の休館日、完成した作品を爲三郎記念館へ運び込み設営しました。生憎の天候となり、庭に展示する作品は冷たい雨に濡れながら、また、自然光が少なく晴れた日の光を想像しながらという難しい状況での作業となりました。 「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」制作プランのプレゼンテーション 「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」最終発表会を実施 古川美術館プロジェクト2024「メイゲイのコウゲイ」を開催 古川美術館と「連携・協力に関する協定」を締結  作業の前に古川美術館 学芸員の早川祥子さんから、まず事故がないように、お客さんは料金を支払って見に来てくださるわけなので、妥協しないで最後まで粘って価値のある展示になるように、また、早く設営が終わった人はまだ終わっていないところを手伝うように、と指示があり設営が始まりました。大きな陶芸作品は運ぶだけでも一苦労、雨を恨めしく思いながらもひたむきに作業します。これまでの報告会で作品ごとに展示場所は決まっているものの、実際に置いてみないことにはわかりません。ことにインスタレーション的に空間を意識する作品は、その場で制作する部分もあり午前中は作品を置く作業に費やされました。4名の美術館スタッフは前回の展示を片付けつつ学生の展示をお手伝い下さり、相談に乗って置き方を考えたり台座を用意したりしていただきました。判断の速さと手際の良さに敬服です。実際に作品を置いてみると想定とは異なり、芳しくないと判断することもあります。自分の作品とのマッチングに納得できず設置場所を変更することもあり、グループで展示することの難しさを感じさせる一幕もありました。  午後には概ね置き場所が決まり、ライトを設置します。限られたライトの数で効果的に作品を照らすよう検討します。雨のため自然光が少なく、晴れの日を想定しながらの設置です。お客さんの動線からの見え方など、じっくりと検証しました。キャプションボードの場所も、建物に釘を打つことができないため設置場所が制約され、他の作品の邪魔にならないか、お客さんにとって読みやすい位置であるかなどを検討し、慎重に設置します。こうして検討を繰り返すことがあらためて学生それぞれ自身の作品に向き会うことになり、展示することで得られる非常に貴重な体験といえます。  設営を終え、早川さんからは「今日、展示を終えて皆さんほっとしたかと思いますが、明日からが展覧会の本番です。お客さんがどういうふうに展示を見てくれるのかというのも含めて、自分の今後の制作にどう生かしていくか皆さん次第です。今回の展覧会は自分の展示したものだけでなくほかの人の展示があって成り立っているものなので、それも含めどう見えるか、ぜひ丁寧に作品を見て欲しいと思います。自分がこの展覧会を受けてどう発展していくか、必ず一度は足を運んで下さい」と言葉をいただきました。  教員からは「実際に搬入してみると、いろいろ上手くいかないことがあり問題が生じることがあります。そうしたことが起こることも十分考慮しておかなければいけないし、どう自分を切り替えて対応するか、そうしたことがその人の持つ力になっていくのだと思います」(中田ナオト准教授)。「明日から展覧会が始まりますが、その間に何か起こることもあります。作品を見ていただくときにお客さんが当たってしまったりすることもあります。展覧会の間は作品のことを気にして、何かあったときにはすぐ対応できるよう心づもりをしておいて下さい。終わって片付けるところまでが展覧会です、最後まで頑張りましょう」(米山和子教授)。「こうした数寄屋造りの建物に展示させてもらえることを幸せに思って欲しいなと思います。私自身、皆さんのことを羨ましく思います。今日は雨ですが、晴れた日には自然光でぜんぜん違った感じに作品が見えると思います。日本建築で展示できることの良さですので、ぜひまた違った天気の日に来て作品を鑑賞し、今後の作品に生かして欲しいと思います」(扇千花教授)というコメントをいただきました。  は、2024年2月6日(火)~18日(日)、爲三郎記念館にて開催となります。ぜひ、ご高覧ください。 「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」

2024.1.31

工芸分野領域横断 3年「工芸・クラフトプロジェクト」最終プレゼンテーションを実施 陶+テキスタイル

工芸分野領域横断 3年「工芸・クラフトプロジェクト」最終プレゼンテーションを実施 陶+テキスタイル  本学では、陶・ガラス、メタル&ジュエリー、テキスタイルの工芸分野領域を中心に、領域を横断して共同作業を行うことで、素材の魅力を捉え直すことや美術とデザインの両面から創作について考える工芸分野領域横断を進めてきました(2024年度から美術領域工芸コース(陶芸・ガラス)とデザイン領域メタル&ジュエリーデザインコースを一体化し、新しい「工芸コース」としてスタートします)。  工芸分野領域横断を始め今年度で3年目、1年生から3年生まですべての学年で連携授業が実施されるようになりました。1年生は、工芸の入門編として、二つの専門を別々に学んで合同講評会を行う「工芸制作」、2年生は、二つの専門を組み合わせた作品制作を行うことにより、その特性や活かし方を考える「工芸複合素材実習」、そして3年生は、工芸分野の素材と対話しながら思考する教育を役立てるために、地域産業の活性化を促すプロジェクトとして、社会的な課題に対して広い視野で解決を試みる「工芸・クラフトプロジェクト」に取り組んで来ました。  2024年1月10日(水)、カジツダイスキ 代表の中森絢子さんをお迎えし、プロジェクトでまとめた提案をプレゼンテーション、講評会を行いました。工芸・クラフトプロジェクトの授業は、工芸分野にかかわらずデザイン領域のどのコースの学生でも履修できる授業で、さまざまなコースの学生が集まりました。それぞれが自分の専門領域を持ち寄るような形になり、ユニークな提案となりました。  学生らは、専攻するコースに関係なく3つのグループに分かれ、中森さんからカジツダイスキの方針や商品について説明を受け、製造・販売する現場を視察、市場性や販売のリサーチを行い、企画をまとめてきました。さまざまなコースの学生が携わっていることもあり、多岐に亘る提案が行われました。商品をより魅力的に見せるためにパッケージとショッパーを提案したグループ、カジツダイスキのネット販売を強化するためきれいな商品撮影ができるようにする撮影マニュアルとSDGsの視点に立つ商品の背景を購買者に伝えるパンフレットを提案したグループ、マルシェでの販売に使える出店ブースと店舗を飾るガーランド、ディスプレイに使う陶器、パンフレットやお金のやりとりに使えるペーパーウェイトといったマルシェで使う店舗を提案したグループと、それぞれのグループが補完しあうような案が揃いました。  中森さんは、ひとつひとつの試作品を手に取りじっくりと検討。「中間のプレゼンテーションのときよりも具体的になって、すごく良いと思います」とコメントし提案を吟味します。ことにカジツダイスキのロゴをモチーフにしたカラーやデザインなどを使った提案が気に入った様子です。  プレゼンテーションを終え、中森さんから実際に店舗で使うために採用したい案の発表が行われました。  1つめのグループからは店のロゴをデザイン化したショッパーを採用、商品パッケージについては数量限定で試してみたいということになりました(制作が手作業のため大量に作ることができない)。2つめのグループからは撮影マニュアルを使いに写真をアップすることを約束、パンフレットをさらにブラッシュアップして使ってみたいとなりました。  パンフレットについては変形サイズのため印刷コストとの兼ね合いになりますが、カジツダイスキのイメージカラーを上手く使い商品の背景を上手く伝えられている点を評価していただきました。  3つめのグループからは、フルーツの断面をスタンプに使ったガーランド、果物をかたどったペーパーウェイトが採用となりました。ペーパーウェイトでは、「果物にあえてキズが入ったように作ればさらにカジツダイスキのイメージに近いものになるのでは。それからガーランドの色合いと模様が素晴らしくて、データ化してもらえたらさらに大きな布にしたりトートバッグにしたり、いろいろなことに使いたいと思います」とさらなるアイデアも飛び出しました。マルシェブースも、機会を見つけ使いたいとなりました。  学生からは「実際に企業の方とコラボするのは初めてだったので、初めて気づくことや学ぶことが多かったです。新しい発見ができ、すごくいい経験になりました」、「グループのメンバーがちゃんと意見を出してくれて、皆で進められて話し合いができて、ずっと授業が楽しかったです」、「チームで1つの課題っていうのに慣れていなかったのでちょっと大変だなって思っていましたが、みんなと話し合いながら進んでいくのが良かったなって思います」、「デザインは、いろんな人のが流れてるんだなと思いました。グループワークだからこそ、 見通しや計画がしっかりしないと全体が苦しくなりしっかり計画を立てようと思いました」、「布は専門外で自分だけではできないことでしたが、他の専門的な知識がある人と一緒に協力したからできたと感じてます」とそれぞれに充実した様子が窺えました。 お店のInstagram  授業を担当した テキスタイルデザインコース 貝塚惇観講師からは「今回、実際の企業の方に来ていただき、いろいろなコースの学生が入るプロジェクトでしたが、授業としては始めてだそうでどう進めていくかとても悩んだ授業でした。実際には、皆さんが想像以上のことをやってくれてそれに一所懸命ついていく、そういう学びが教員側にもありました。実際に中森さんにお会いしてリサーチしてものを作っていく、デザインの仕事のプロセスを体験できたことは、皆さんとても大きく成長できたのではないかと思っています」。工芸コース 田中哲也非常勤講師からは「教員としても貴重な経験をさせてもらいありがとうございました。でも、いちばん貴重な経験をしたのは皆さんだと思います。実際にお客さんの話を聞いて仕事を進める、そしてチームワーク。皆でプロジェクトを立ち上げてやっていくこと、今後もたくさんあると思います。非常に良い経験ができたのではないかと思います」とまとめました。  成果物としても、学生たちの経験としても、非常に実りのある授業となりました。今後、作品はブラッシュアップされ、実際の店舗やマルシェで使われることになります。お楽しみに。

2024.1.31

工芸分野領域横断 2年「工芸複合素材実習」講評会を実施 メタル+ガラス

工芸分野領域横断 2年「工芸複合素材実習」講評会を実施 メタル+ガラス  本学では、陶・ガラス、メタル&ジュエリー、テキスタイルの工芸分野領域を中心に、領域を横断して共同作業を行うことで、素材の魅力を捉え直すことや美術とデザインの両面から創作について考える工芸分野領域横断を進めてきました(2024年度から美術領域工芸コース(陶芸・ガラス)とデザイン領域メタル&ジュエリーデザインコースを一体化し、新しい「工芸コース」としてスタートします)。  工芸分野領域横断を始め今年度で3年目、1年生から3年生まですべての学年で連携授業が実施されるようになりました。1年生は、工芸の入門編として、二つの専門を別々に学んで合同講評会を行う「工芸制作」、2年生は、二つの専門を組み合わせた作品制作を行うことにより、その特性や活かし方を考える「工芸複合素材実習」、そして3年生は、工芸分野の素材と対話しながら思考する教育を役立てるために、地域産業の活性化を促すプロジェクトとして、社会的な課題に対して広い視野で解決を試みる「工芸・クラフトプロジェクト」に取り組んで来ました。  2024年1月11日(木)に行われた2年生「工芸複合素材実習」では、ガラスとアルミを素材に鋳造で作品を制作しました。  作品は、ガラスとメタルのそれぞれの特性を表現したものでも、2つの素材を組み合わせたものでもよく、自由な作品が揃いました。ガラスもメタルも表面を磨くことも荒らすこともできるため処理もそれぞれ異なり、素材の違いを感じさせるもの、接着剤を使い文字通り2つの素材を組み合わせたものなど、学生それぞれの個性が表現されました。素材への興味や技法への探究心を感じさせるもの、中にはすでに作家性を感じさせる作品もあります。  プレゼンテーションは、学生が作品の背景を説明し学生同士でも感想を伝え合うような形で進められました。メタルを担当したメタル&ジュエリーデザインコース 瀬田哲司准教授から、メタルとガラスを組み合わせた作品は過去にも少なくもっと追求してみてもいいのでは、といった評価を受ける作品もあり、可能性を感じさせました。  ガラスを担当した工芸コース 深川瑞恵非常勤講師からは「自分が持っているテーマだとかモチーフだとか、それぞれが形にできていて驚かされることが多かったです。皆さんの今後の制作で役に立てばと思います。ガラスを取り入れたり、楽しんでかかわって欲しいと思います」と講評しました。瀬田准教授からは「今回、初めての課題としてガラスとアルミの鋳造を使って作品作りを行いました。どんなものができるかと期待していましたが、期待以上に面白いものがたくさん出てきて自分としても満足しています」と評価の言葉がありました。  異なった専門性が重なり合うことで新しい表現が生まれる、それを実感させる領域横断の授業となりました。

2024.1.31

工芸分野領域横断 1年「工芸制作」講評会を実施 メタル+テキスタイル

工芸分野領域横断 1年「工芸制作」講評会を実施 メタル+テキスタイル  本学では、陶・ガラス、メタル&ジュエリー、テキスタイルの工芸分野領域を中心に、領域を横断して共同作業を行うことで、素材の魅力を捉え直すことや美術とデザインの両面から創作について考える工芸分野領域横断を進めてきました(2024年度から美術領域工芸コース(陶芸・ガラス)とデザイン領域メタル&ジュエリーデザインコースを一体化し、新しい「工芸コース」としてスタートします)。  工芸分野領域横断を始め今年度で3年目、1年生から3年生まですべての学年で連携授業が実施されるようになりました。1年生は、工芸の入門編として、二つの専門を別々に学んで合同講評会を行う「工芸制作」、2年生は、二つの専門を組み合わせた作品制作を行うことにより、その特性や活かし方を考える「工芸複合素材実習」、そして3年生は、工芸分野の素材と対話しながら思考する教育を役立てるために、地域産業の活性化を促すプロジェクトとして、社会的な課題に対して広い視野で解決を試みる「工芸・クラフトプロジェクト」に取り組んで来ました。  2024年1月10日(水)に行われた1年生の「工芸制作」は、メタルでは針金を使って作った装身具、テキスタイルでは草木染めの手ぬぐいを制作、学生それぞれが2点の作品を前にプレゼンテーションを行いました。  針金を使った装身具は、自分でデザインのテーマを決めそれに基づきドローイングし、それを自身の身体に合わせて立体化。技法としては、針金を曲げスポット溶接でつなぎました。テキスタイルの草木染めは、化学染料を使わず植物や果実などを煮出して作った染液で染める技法で、自然な色合いが魅力です。学校周辺の植物を各自集めて、実験的な意味も含めた実習となりました。媒染剤に使われる鉄・アルミニウム・銅でも色合いが異なり、それぞれが独自の風合いとなります。作品に草の生えていた場所と季節が記録されることにもなり、それだけでアートといえる出来映えです。  プレゼンテーションでは、学生ひとりひとりが制作した装身具を実際に身に纏い、手ぬぐいを壁に貼り、実習の感想を述べました。金属を使った立体の制作も草木染めもほとんどの学生が初めての体験であり楽しんで制作したことが伝わってきます。いきいきと自分の作品と技法について語る姿が印象的でした。  メタル担当のメタル&ジュエリーデザインコース 浅井美樹非常勤講師は「素材に触れるという経験、あまり経験のない人もいたと思います。その中で色々試行錯誤して楽しいところを見つけることができればそれで良かったと思います。作品の中には、楽しんで制作したことが伝わるものもありました。良い経験ができたのではないかと思います」とまとめました。  草木染めを担当したデザイン領域 共通科目等担当 秋保久美子非常勤講師は「草木染めを経験したことにより身近な植物でも染めることができることがわかったと思います。今は、コース選択や課題のことで頭がいっぱいになってるかもしれませんが、本来、染色というものは暮らしにすごく近いものです。作る過程を楽しむこと、芸大を選んだ最初の理由みたいなところを感じてくれたらいいなと思います」と授業の感想をまとめました。

2024.1.30

「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」最終発表会を実施

「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」最終発表会を実施  美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)、デザイン領域テキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーデザインコース(2024年度1年次入学生から工芸コースへ学びを移行)では、名古屋市千種区の古川美術館・分館爲三郎記念館と連携し、2024年2月6日(火)~18日(日)までの2週間として爲三郎記念館に学生の作品を展示します。  会期が迫る2024年1月25日(木)、古川美術館学芸員の早川祥子氏をお招きして作品制作の現状を確認、展示について再検討する最終発表会を行いました。1mを超える大きな作品や焼き上げる前の陶芸作品など移動させることが困難なものもあり、テキスタイル工房、メタル工房、セラミック工房、ガラス工房、木工房を学生らとともに巡り、展示についていっしょに考えることとなりました。 「メイゲイのコウゲイ」 「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」制作プランのプレゼンテーション 「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」最終発表会を実施 古川美術館プロジェクト2024「メイゲイのコウゲイ」を開催 古川美術館と「連携・協力に関する協定」を締結  各作品概ね構想通りに制作が進んでいるものの、制作期間の最後の10日ということもあって、工房には慌ただしい雰囲気が漂っています。実際の作品の大きさや色味を確認し、想定している展示場所や同時に並ぶ作品との整合性などを検討していきます。  早川さんは、学生ひとりひとりに作品の意図を確認し、制作の途中で変わってしまった部分やどう見せたいか、学生の希望を聞いていきます。作家の考えに寄り添い、展示したときの希望を受け入れつつ最大限効果的に見えるよういっしょに考える姿勢が印象的で、学芸員の仕事の一端を見せていただいたように思います。中には、思うように制作が進まず展示を辞退したいと言い出す学生もいましたが、「途中まで作ったパーツだけでも見せることができる、できるところまで頑張って」と励ますこともあり、作家を支えることも学芸員の仕事だと感じさせます。作品の展示は、作品そのものだけでなく作品の背景にある作家の考えや感情を見せることだともいえそうです。工房を巡り、作品ひとつひとつと対峙して考える、濃厚な時間となりました。  発表会を終え、担当する中田ナオト准教授からは「忙しいスケジュールの中、個々、自分の意志でこのプロジェクトに参加して作品を作ってくれていることがすごく喜ばしいことだと感じています。失敗してもいいのでやりきることが、今後の創作への良い経験になると思います。昨年に引き続いて2回目の参加の人がいますが、空間の捉え方ややりたいことの幅が広がっているような印象です。展示まで楽しんでやって欲しいと思います」と講評。  瀬田哲司准教授からは「失敗してもいいとう話が出ましたが、作家になると失敗できないプレッシャーを感じることになります。失敗できるのは学生時代の特権なので、貴重な機会をぜひ生かしていただきたいと思います」と自由に創作、展示することの意義を述べます。  米山和子教授からは「現場をよく知っていらっしゃる学芸員さんの言葉を聞きながら制作するというのは本当に貴重な機会です。制作の最後の数日が作品の出来を分ける時間です。これからが良いものになる時間なので、最後まで諦めずに皆頑張って制作して下さい」と制作を応援。  扇千花教授からは「4つの素材、それぞれの違いを感じさせるのと各コースの違いなどがあり、すごく面白いと思います。コースそれぞれに違いがありつつも、全体として工芸の魅力が伝わっていけばと思います」とまとめました。  早川さんからは「すごくバラエティに富んでいて、それぞれ違う素材への向き合い方、造形の捉え方があるので、ごちゃごちゃにならないように見せることが一番大切だと思っています。それぞれの作品の良さが良さが見えるよう、賑やかでありながらも調和しつつ独立してるような展示をしたいと思っています。皆さんが自分自身の作りたいものを、ここに展示したい、そうやって制作することが面白くなる要素だと思います。こんなことできないんじゃないかと諦めず途中でもいいので、最後まで参加して下さい。失敗という話が出ていますが、出して展示をすればそれは失敗ではありません。思ったように行かなかっただけで、諦めてしまうことが失敗だと思います。実際に展示したときに思っていたのと見え方が違うということが起きますが、その場でいっしょに考えるのが私のたち役割です。途中までであっても持ってきて下さい」と力強い言葉があり、最終発表会は終了となりました。  は、2024年2月6日(火)~18日(日)、爲三郎記念館にて開催となります。ぜひ、ご高覧ください。 「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」

2023.12.12

メタル&ジュエリーデザインコース、七宝焼アートヴィレッジにて作品展示、ふるさと納税返礼品をめざす

メタル&ジュエリーデザインコース、七宝焼アートヴィレッジにて作品展示、ふるさと納税返礼品をめざす  デザイン領域メタル&ジュエリーデザインコース(2024年度1年次入学生から美術領域工芸コースへ移行)は、あま市七宝焼アートヴィレッジとコラボレーションし、伝統ある尾張七宝を使った新商品の開発を行い、尾張七宝の魅力を広く伝える取り組みを行っています。今年度のプロジェクトは2つ、「世界に認められた尾張七宝に再び輝きを」ということで学生が中心となり、七宝焼アートヴィレッジ常設展示の名品をモチーフとしたデザインを帯留めに落とし込み、ふるさと納税返礼品として商品化を目指すプロジェクト。さらに有志の学生とジュエリーデザイナー、作家として活動する卒業生らによる七宝の可能性をさらに広げる実験的な取り組み「尾張らない七宝プロジェクト」を立ち上げ、作品を制作しました。これらの作品を七宝焼アートヴィレッジの「第41回尾張七宝新作展」(2023年11月23日~26日)に併せて展示、最終日の2023年11月26日(日)には、安藤七宝店 安藤重幸氏、だいきち七宝工房 太田吉亮氏、加藤七宝製作所 加藤芳朗氏、インテリア七宝アート 加藤実氏をお迎えし、作品の講評会と商品化する作品の選定を行いました。  学生は、作品とともに作品のモチーフとした七宝の名品、さらに新しいデザインに込めた考えや思いなどを説明しました。基になった名品は七宝焼アートヴィレッジの常設展にある作品で、いずれも名品にふさわしい技巧の凝らされたもの。それらから発想し、デザインの一部を切り取ったもの、色味を揃えたもの、描かれているモチーフからさらにイメージを広げたものなど、それぞれに個性的な作品に落とし込みました。講評としては、七宝の技術的な面からのアドバイスと、商品として見た場合のアドバイス、2つの方向性からご意見をいただきました。初めて七宝にチャレンジした学生や制作2~3作目といった経験の少ない学生が大半で、それぞれが銀線を立てる(有線七宝の技法でテープ状の純銀の線を立て図案の輪郭とします)のに苦労したり、思ったような色味が出ずにいましたが、丁寧な作りをお褒めいただくこともあり大きな励みになりました。どの作品からも一心に取り組んだことが伝わり、学生らも制作することでさらに七宝の魅力に触れたのでは、と感じさせます。また、商品として見たときには、値段を付けたい!やすぐにでも店頭に並べたいと、いった言葉も聞かれ、これも嬉しい評価をいただきました。  「尾張らない七宝プロジェクト」では初めて七宝に取り組んだ2年生3名がプレゼンテーションを行い作品を説明しました。愛犬を現代アートふうに表現したもの、ツタンカーメンをモチーフにしたものなど、自由でユニークな作品が紹介されました。これまでの七宝焼にはないデザインを評価していただき、ぜひ、七宝も表現手段のひとつとして引き続きやっていって欲しいと講評をいただきました。  総評として、「非常に完成度の高い作品が多くありました。どこへ出してもおかしくないと感じます。ただ、ふるさと納税の返礼品となると作りやすさも考慮する必要があり、どれを選べばいいかじっくり考えたいと思います」(太田氏)、「返礼品としてどのデザインでも魅力のあるものになると思います。数を作るとなると、型に合うデザインとコストが重要です。トータルで考えて考えたいと思います。デザイン自体はどれも良くて、商品化することに問題ないです」(加藤実氏)、「クオリティと発想力に驚きました。初めて七宝で作品を作ったという方もいる中で、これだけのものが出てきたというのは期待以上です。こういった社会連携の取り組みは卒業後も役に立つことです。積極性をもって取り組んでいって欲しい、ぜひ頑張って下さい」(加藤芳朗氏)、「商品となると収益性が必要で、自分の創りたいものを創るということとは異なってきます。そこが今回勉強になる部分ではないかと思います。現状、七宝業界は厳しい状況におかれており、自分たちの常識だけでは打破できない部分がたくさんあります。いろんな人たちからアイデアをもらいながらやっていくことが必要で、今回、いろいろな意見をもらえたことは非常にありがたかったです。皆さんの努力を何らかのカタチにしたいと思っております」(安藤氏)、と言葉をいただきました。  講評会終了後、選考が行われ、返礼品の花瓶に3年生 鈴木歌乃さん「輪転」のデザインが、ブローチに3年 浅谷栞那さん「酔芙蓉」が選ばれました。おめでとうございます。今後、ブラッシュアップされ商品化されることとなります。  また、今回展示された作品は、1月中旬 名古屋栄の安藤七宝店本店新店舗にて展示していただくことになります。こちらもお楽しみに。 酔芙蓉 鯉と牡丹 幸福の花 夢の色 菊文様・螺旋 龍と唐草 輪転 心に秘めた愛 藤と鳩 香立 竹と雀 愛犬 蛙 君影草 波 ドクダミ 無題 pivoine papillon 顔 木目花瓶 Windows つらつら椿 群蝶 名古屋コーチン 蜥蜴 Dear James, moss 金魚皿 初

2023.11.16

「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」制作プランのプレゼンテーション

「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」制作プランのプレゼンテーション  美術領域工芸コース(陶芸・ガラス)、デザイン領域メタル&ジュエリーデザインコース(2024年度1年次入学生から工芸コースへ移行)、デザイン領域テキスタイルデザインコースは、昨年に引き続き、古川美術館・分館爲三郎記念館とコラボレーションし「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」と銘打ち、数寄屋作りの分館 爲三郎記念館から着想を得た作品を展示します。展示期間は2024年2月からとなりますが、2023年11月10日(金)には、展示にあたり学生がそれぞれどんな作品を制作するかをプレゼンテーションをしました。古川美術館からは、館長代理兼事務局長 伊藤洋介さん、学芸員 早川祥子さんにお越しいただき、制作について確認、ご意見をいただきました。 「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」制作プランのプレゼンテーション 「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」最終発表会を実施 古川美術館プロジェクト2024「メイゲイのコウゲイ」を開催 古川美術館と「連携・協力に関する協定」を締結  今年度は、総勢47名の参加となり、それぞれが制作する作品についてと想定する展示場所や展示方法について説明しました。昨年度の展示や爲三郎記念館の見取り図、展示するために用意できる展示台などはあらかじめ説明されており、また、学生によっては実際に爲三郎記念館を訪れてイメージを膨らませて作品を考え、具体的なプレゼンとなりました。爲三郎記念館の茶室や洋風の桜の間からインスピレーションを得たもの、窓からの庭を借景にしたもの、欄間のデザインをモチーフにするものなど、さまざまな構想が発表されました。印象的なのは、展示台を使うようなオブジェの展示が少なく、インスタレーション的に空間全体を想定する展示が目立ったこと。また、テキスタイルコースでは、友禅染めとつづれ織りの2作品を提案しどちらかを制作するとのことで、壁に掛けて見せる作品が多くなっています。学生どおし事前に調整したわけではないので、同じ展示場所を想定した作品もあり、今後の調整も必要です。プレゼンテーションを聞きながら学芸員の早川さんは、作品をどう見せるのが効果的なのかを想像しているようで、悩ましくも楽しそうにプレゼンテーションを聞いている様子でした。  早川さんからは「テキスタイルは壁に掛ける作品が多く、爲三郎記念館では場所が限られてしまい、どこにどう掛けるかが難しいと感じました。縁側に置くことも面白いかもと思いますが、どう実現できるか考えたいと思います。また、ひとつの部屋を使ったインスタレーションを希望される方が何名かいらっしゃいますが、これも考えなきゃいけないことです。展示したときにそれぞれが独立しつつもお互いが引き立てあえるような、そんな展示を考えていきたいです。作品数が多いですが、散漫にならないように気を付けたいと思います」と講評をいただきました。  伊藤さんからは「どんどん要望をいただいてそれをまとめていくのが学芸員の仕事ですので、ぜひ熱い思いをしっかりと主張して下さい。数寄屋建築というのは主の遊び心にどこまで気付いてもらえるかが醍醐味ですとお客さんには伝えていますが、今日は学生さんたちの面白い視点を見せていただきました。私も気が付かなかったところにも気付き、それをどう作品に昇華するか、非常に期待が高まりました。楽しみにしています」との言葉をいただきました。  最後に中田ナオト准教授から、3つのコースが一緒に展示することでさまざまな視点と素材、考え方を体験すること、爲三郎記念館というギャラリーやホワイトキューブで展示するのとは異なった場所を経験すること、プロの学芸員の方と一緒に展覧会にかかわり全体を作っていくこと、と3つの点を挙げ貴重な経験になるので積極的に取り組んで欲しいと言葉があり、今回のプレゼンテーションは終了となりました。  「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」は、2024年2月6日(火)~18日(日)の開催となります。ご期待下さい。

2023.10.1

石塚硝子とガラス・やきものをめぐる展覧会

石塚硝子とガラス・やきものをめぐる展覧会  2023年9月22(金)〜27日(水)、本学西キャンパス Art&DesignCenter Westにて「石塚硝子とガラス・やきものをめぐる展覧会」を開催しました。この展覧会は、2023年度前期授業にて工芸コースに所属する学生、大学院生が取り組んだの成果展となります。  あわせて会場には、2023年度前期に制作されたガラスの作品も一堂に介して並びました。 「ガラスとセラミック(ボーンチャイナ)を活用した素材の可能性を探る研究プロジェクト」  2023年度前期授業内にて工芸コース3・4年生、大学院生が中心となって取り組んだ、産官学協働プロジェクト「石塚硝子プロジェクト」の成果展を開催いたします。  名古屋芸術大学は、東海地区では唯一のガラス教育を行う教育機関として、ガラス工房開設から23年目を迎えました。工芸コースでは、陶による教育、ガラスによる教育を通して、アート&デザインの視点をもつ豊かな感性を拠り所とし、素材に触れながら世界とつながる方法を教員、学生がともに模索し、これからの社会に貢献・予見できる人材育成に取り組んでいます。  本プロジェクトを行う石塚硝子株式会社(以下、石塚硝子)は、本学が位置する北名古屋市に隣接する岩倉市に工場を持ち、日本では屈指のガラス素材を中心とした容器のメーカーです。さらにはガラス素材に限定されることなく、ガラス製造で培われた知識や技術を軸に他分野にも展開されています。またグループ会社である鳴海製陶株式会社(以下、NARUMI)は、ボーンチャイナを中心とした名高い陶磁器メーカーです。  本プロジェクトは、石塚硝子・NARUMIとともに、若い世代、同時代から発想し得る協働による試みを、新たな関係性を構築しながら未来への提案の可能性を探り、互いが位置するこの地域から産業と教育、社会とアートの両側面によって発信したいとの思いからスタートしました。会場には、「ギフト・おくりもの」をキーワードに、学生が各素材やそれらを取り巻く状況を鑑みながら、作品・商品・素材開発などの観点から制作した作品群が並びます。  また本プロジェクトの成果展に合わせて、2023年度前期に制作された陶・ガラス素材の作品群を一堂に介して展覧いたします。二つの素材をめぐって繰り広げられる表現の可能性をお楽しみください。 名古屋芸術大学 美術領域 工芸コース 准教授 中田ナオト ※'23年度名古屋芸術大学では、一部のガラス作品において石塚硝子株式会社の硝子材料を使用しています。 「石塚硝子プロジェクト」成果展 2023年度前期制作 陶・ガラス素材作品群..........

2023.8.25

ガラスとセラミック(ボーンチャイナ)を活用した素材の可能性を探る研究プロジェクト、最終報告会を開催

ガラスとセラミック(ボーンチャイナ)を活用した素材の可能性を探る研究プロジェクト、最終報告会を開催  岩倉市のガラスメーカー、石塚硝子株式会社様、グループ会社で洋食器メーカーのNARUMI(鳴海製陶株式会社様)との連携で始まった「ガラス及びボーンチャイナという素材の研究と、その価値を再発見できる製品・作品制作の可能性についてのプロジェクト」。その最終報告会が、2023年7月25日(火)(陶芸作品)、26日(水)(ガラス作品)の2日間に渡って行われました。  25日の陶芸作品には、NARUMIから開発·製造部門 研究開発部 部長 西部徹氏、商品開発部部長 兼デザイン課課長 十文字香織氏、ブランディング推進室室長 木全裕子氏をお招きし、また、26日には石塚硝子株式会社から新事業·機能材料カンパニー イノベーション推進部 新事業企画グループリーダー 両角秀勝氏、新事業·機能材料カンパニー 社長補佐 兼 イノベーション推進部長 柴田康孝氏、新事業·機能材料カンパニー 取締役執行役員 カンパニー社長 下宮尚已氏をお招きしての報告会となりました。  制作のテーマは「ギフト」。贈る側と贈られる側の気持ち、贈り物とはどういったものなのかについて考察を深め、そこへ、石塚硝子とNARUMIでの学びと、提供していただいたリサイクル素材を交えて作品を制作しました。学生たちは、2023年6月の中間発表会でアドバイスのあった点を見直し、最終的な形へとまとめました。  ほとんどの学生が、陶芸作品とガラス作品の2点を制作。日を変えて展示し、それぞれにプレゼンテーションを行い作品の背景や考えを説明しました。ギフトというキーワードに従い、贈って喜ばれるノベルティ的な作品や自身が欲しいと思う作品、ギフトとして華やぐ気持ちを形にしたもの、提供された素材を基に素材の魅力をさらに引き出そうとする作品、自身が追求する創作と重ね合わせた作品など、学生の個性に応じてバラエティあふれる作品が並びました。素材の配合や温度など条件を変えて実験を繰り返し、イメージ通りのテクスチャーや形状を作り出そうとする、文字通り、研究に値するような作品もあり、2ヶ月あまりと短い期間ながらも濃密に作品作りに向き合ったことを感じさせます。  講評では、NARUMI 十文字さんから「短い期間で心配もありましたが、若い皆さんの成長する力を感じました」、木全さんから「中間発表からブラッシュアップされてできあがり、素晴らしいなと思います」、西部さんからは「いろいろなアイデアを見せていただき、感心するところが非常に多くありました」といったコメントが聞かれました。  石塚硝子 柴田さんからは「中間発表を経て、ずいぶん立派な形になったなという印象です。この連携事業では、最終的な形もさることながら、皆さんが訴えたいこと、コンセプトのところで我々が気が付いていない部分を、という思いがありました。その点、皆さんのプレゼンを見せていただき非常に得るものがありました。よい経験をさせていただきました」、両角さんからは「陶芸とガラス、2つの作品を制作することは大変だったと思います。いろいろな観点の作品を見せていただき、新鮮な気持ちになりました。皆さんにとっては企業とのタッチポイントになったのかなと。人と話したりものごとを進めていく経験は、社会に出ていく上で役立てていただければと思っています」との言葉をいただきました。  学生にとって、企業とのコラボレーションに緊張感を持って臨むことができたこと自体、非常によい経験になったのでないかと思われました。  この後、プロジェクトでは今回の講評を受けさらに作品をブラッシュアップし、2023年9月22日からArt & Design Center Westにて展示を行います。またこの展覧会には、2023年度前期に制作されたガラスの作品も一堂に介して並びます。  「これから先、もう一歩進める段階があるように思います。今日の話を基に、前に進んでいってもらえれば思います。期待しています」と担当の中田准教授からのコメントもあり、さらなるレベルの向上が期待されます。 【陶芸作品】NARUMI(鳴海製陶株式会社様) 【ガラス作品】石塚硝子株式会社様

2023.8.23

【工芸リレー】テキスタイルデザインコース「素材展」を開催

【工芸リレー】テキスタイルデザインコース「素材展」を開催  2023年7月14日から、西キャンパス Art & Design Center Westでは【工芸リレー】と銘打ち、工芸分野3コースの展覧会を開催しています。はじめに「CONNEXT2023 陶ガラス教育機関講評交流展」(工芸コース)、2023年7月21日からは「素材展」(メタル&ジュエリーデザインコース)、そして2023年7月28日から「素材展」(テキスタイルデザインコース)を開催、それぞれ前期の成果を展示しました。  テキスタイルデザインコースでは、2年生、3年生が前期の課題で制作した作品、4年はプレ卒業制作ということで卒展に向けての展示を行いました。これにあわせて、8月1日には2年生、2日には3年生の講評会が行われ、2年生の講評会にお邪魔しました。  2年生は、描画技法を学びモノクロで自然を表現する「図案制作」(シミズダニ ヤスノブ 客員教授が担当)、羊から毛を刈り取り、その毛を紡ぎ〜織り〜後加工をして布をつくりブックにまとめる「スピニング」(貝塚 惇観講師が担当)、繊維素材の実技として「フェルトメイキング」(扇 千花教授、木下 幸子 非常勤講師が担当)、染料を布を浸して染める技法の「浸染」(樫尾 聡美非常勤講師が担当)の4作品を展示。それらの作品を観つつ、専門コースではじめての授業を受けた学生に、前期の手応えと感想をヒアリングしました。  学生たちは、ひとりひとり自分の作品を指し示し、前期の課題についてやテキスタイルコースで学んだことの感想を述べました。「紙漉きや羊の毛刈り、染めも初めての経験で、新しい体験があった」「やったことのないことばかりで面白かったけど、それぞれに反省もある」「1年のファンデーションよりも精神的に余裕ができてしっかり取り組めた」「手仕事が好きで、テキスタイルコースに入ることができてよかった」と、手仕事の面白さを実感したという感想が多く聞かれました。また「映像系のコースに行きたくて立体は作ったことがなかった、自分にとって新しいチャレンジ」「絵画をやってきてデザイン的なことをやったことがなく難しく感じた」「ほかの人の作品を観ると皆自分の世界観を持っているように感じる、自分にはあるのかわからない」といったように作家的な志向とデザイン的な志向で、迷う学生も見受けられました。今回の講評会では、そうした方向性を見い出したり確認するために行われている側面もあり、講師陣は学生の作品を観ながら共通性と志向を探っていきます。学生がまだ自分でも気が付いていない、それぞれ作品の魅力を見つけ出していくような場となりました。  テキスタイルコースの課題のユニークな点として、使用する技法は決まっているものの、そこで表現するものには制限がないということが挙げられます。デザイン的に広く受け入れられることを考え制作する学生もいれば、自分の表現を模索するような学生もいます。これまでにもテキスタイルデザインコースでは、デザイン領域でありながら作家性の強い作品を制作する学生もおり、デザイナーとして活動する卒業生と作家として活動する卒業生の両方がいます。今回の講評会でも「自分の好きなことを受け入れてもらえて本当にうれしい」という学生もおり、十人十色、さまざまな作品が並びました。  また、実際に展示することの意味も考えさせられました。2年生にとって、今回が初めての展覧会。展示してそれぞれの作品を見せることもそうですが、展示作業にはじまり白い壁に展示して作品がどう見えるかを体験します。天井の高さや照明、展示空間の中で自分が思っていたこととは違う作品の姿を発見します。先輩の作品と見比べ、何年後かには自分もできるようになるだろうか心配になったり、自分のやりたい方向性を自覚したり、初々しい感想が聞かれました。  展示と学生の声からはたくさんの可能性を感じさせ、有意義な展示と講評会となりました。 講評会 プレ卒業制作 羊毛の紡ぎ〜織り〜仕上げ加工【2年生】 フェルトメイキング【2年生】 型染【3年生】 産学連携プロジェクト 尾州産地×名古屋帽子【3年生】 織物組織応用【3年生】 浸染【2年生】 図案制作【2年生】