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2023.3.6

古川美術館 分館 爲三郎記念館「メイゲイのコウゲイ:古川美術館プロジェクト」開催

古川美術館 分館 爲三郎記念館「メイゲイのコウゲイ:古川美術館プロジェクト」開催  美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)、美術総合コースと古川美術館・分館爲三郎記念館とのコラボレーション企画「メイゲイのコウゲイ:古川美術館プロジェクト」が2023年2月14日(火)~26日(日)に開催されました。展覧会に向け、これまで企画案のプレゼンテーション、制作進捗の報告会と続けてきましたが、いよいよ2023年2月13日(月)に展示の設営を行いました。生憎の雨となりましたが、学芸員の早川祥子さんをはじめとする美術館スタッフのアドバイスを受けながら、学生総出で設営を行いました。  これまでの報告会で、作品を展示する場所は想定されていますが、あらかじめ考えられていた場所に作品を運搬し、実際に置いてみて作品意図と合っているか、より魅力が伝わる配置はないかなどを検討しました。設置してみて、自然光の入り方を確認しながらライトを設置、お客さんの動線からの見え方など、実際に置いてみてはじめて分かることをじっくりと検証しました。学生らは、あらためて自分の作品と向き合い、コンセプトを思い返し悩みながら最適な展示を検討しました。印象的なのは美術館スタッフたちの手際の良さ。襖の取り外しや台座の用意など大きなものから、ライトの配置換えや電源ケーブルの処理など細やかなところまで、作品の魅力を最大限にしようと楼を惜しまず準備する姿勢はさすがプロフェッショナル。ときには作者と一緒に悩み考え、文字通り親身になって展示を考えていただきました。プロの方々と一緒に展示を体験できる非常に良い機会となりました。朝から搬入を始め、午後にはそれぞれが納得のいく形に納めることができました。  設営を終えて、中田ナオト 准教授からは「設営して自分がお客さんの気持ちになってどういう風に自分の作品が見えるか、展示は一番冷静に客観的に見える瞬間だと思います。設営で終わらせず展覧会にも必ず足を運んで、実際にお客さんと話をしたりして下さい。自分の作品について言葉にすることで、より作品に対する考えが深まります」と説明がありました。  学芸員の早川さんからは「明日から展覧会ですが、ぜひ展覧会の最初から最後までちゃんと見届けて欲しいと思います。できる限り展示の様子を見に来て、お客さんの反応や自分の作品のどんなところを見てもらったかなど、肌で感じていただきたいと思います。それから、一緒にこの展覧会を盛り上げるため、SNSでお手伝いして欲しいと思います。展覧会のことを知ってもらいたい、名芸の講義のことやこうした取り組みのことなど、ハッシュタグを付けて盛り上げて欲しいと思います」と言葉をいただきました。  また、この日、設営にあわせ名古屋市の文化芸術支援事業であるクリエイティブ・リンク・ナゴヤのための動画撮影がスターキャットにより行われました。プロモーション用の動画にはアートクリエイターコース 4年 田村くるみさんと西本華さんが出演。爲三郎記念館近くの覚王山日泰寺と参道で町歩きする様子を撮影し、爲三郎記念館で作品を見たりお茶をいただくシーンを撮影しました。さらに、学生ひとりひとりが自分の作品について語る動画も収録。Webサイトでの配信やスターキャットのNEWSでも放送される予定で、SNSの投稿でも使われます。

2023.2.15

工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館とコラボプロジェクト、進捗報告

工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館とコラボプロジェクト、進捗報告  美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)、美術総合コースと古川美術館・分館爲三郎記念館とのコラボレーション企画、作品の進捗報告会を2023年2月1日(水)西キャンパス セラミック工房にて行いました。古川美術館から館長代理兼事務局長 伊藤洋介氏、学芸員 早川祥子氏をお招きし、制作途中の学生作品を見ていただき作品の出来具合と当初のイメージ通りの設置で問題がないかを確認し、想定する設置場所を含めて再検討しました。  14名の作品を1展ずつ閲覧、すでに完成した作品もあればこれから焼き上げる陶の作品もあり、進捗状況はそれぞれですが作者の学生と対話しながら作品イメージをかため、展示場所や展示方法を検討しました。  作品は、七宝焼きを使ったもの、ガラス作品、ドローイング、大きな陶芸作品、テキスタイルの染め、アルミ缶を焼いた金属作品など、素材のバリエーションも大きさもそれぞれ大きく異なります(有志で参加するテキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーデザインコース学生の作品もあり)。それら一点一点の魅力と、全体的な見え方のバランスを考えながら展示を考えます。  いずれの作品でも焦点になったのが、作品を置く台座。前回のまでの説明で、古川美術館には白い木製の台や漆塗りの黒い台、高さも薄く低いものからテーブルと同じような高さのものまで、さまざまな展示台があることが学生には伝わっています。どういった展示台を想定して作品を作っているのかや作品のどの部分を見せたいのかといったコンセプトをあらためて聞き出し、最適な展示になるように検討します。中には、から大きく作品が変更になった学生もおり、こうした報告会の必要性がよく理解できます。印象的なのは、学芸員の早川さんの姿勢。ときには、メジャーを取りだし作品の寸法を確認するなど、作品を理解しその魅力を最大限に引き出そうとする姿はまさに学芸員の仕事そのもの。作品を作ることに集中するのが作家ですが、最終的にどう見せて何を伝えたいかそこまで想定しながら制作することが大事なのだと気付かされます。伊藤さんからも、作品の背景にある考えが面白い作品にはしっかりとしたステートメントや説明を付けるべきであることを指摘するなど、見せるという点についての考え方には確固としたものがあり、大いに刺激となるものでした。中田ナオト准教授は、作者も気づいていない部分の作品の魅力を掘り下げたり魅力に合った見せ方を作家としての立場から考えたりと、作品コンセプトに対して現状での練り直し作業を一緒に行いブレインストーミングのような報告会となりました。 前回の企画案  一通り、作品を確認したお二人からは、「展示は、いつも思い通りにならないものですが、一緒にその経験をしたいと思います。皆さんが見せたいようにすることが目標ですが、うまくいかないこともあります。そうした経験を今後の作品づくりに役立てて欲しいと思います」(早川さん)、「いろいろなバリエーションの作品があり、とても楽しみです。一緒に楽しみながらやっていきたいと思います」(伊藤さん)と、温かいコメントをいただきました。  また、今回の分館爲三郎記念館での展示が、名古屋市の文化芸術支援事業である「クリエイティブ・リンク・ナゴヤ助成事業」になり、SNSやWeb広告といった、デジタル技術を活用した広報活動の助成を受けることになりました。これに伴い、古川美術館と関連の深い名古屋のケーブルテレビ局 スターキャットが学生とともに広告用の映像制作を行うこととなりました。ニュースでの放映も予定され、さまざまな告知活動が行われることとなります。こちらも併せてお楽しみに。

2023.1.28

工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館コラボ、企画案をプレゼンテーション

工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館コラボ、企画案をプレゼンテーション  美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)、美術総合コースでは、名古屋市千種区の古川美術館・分館爲三郎記念館と連携、2023年2月14日(火)~26日(日)までの2週間、爲三郎記念館に学生の作品を展示します。  2022年11月25日に学芸員 早川祥子氏をお招きし、学生が構想している作品アイデアをひとりひとりプレゼンテーション。陶芸作品などを設置する場合の建築物や畳への問題や、置き場所について確認していただきました。  プレゼンテーションは、14名の学生が作品のアイデアスケッチや小さなサンプルを用意して、作品のコンセプトと素材や大きさ、具体的に設置したい場所などを説明します。実際に爲三郎記念館を訪れてイメージを膨らませ構想を練った学生もおり、さまざまなアイデアが出されました。床の間や縁側といった建物から着想したもの、また、雪見障子や漆塗りの展示台といった展示のディテールに着目したものなど、それぞれに個性あふれるプレゼンとなりました。印象的なのは、数寄屋造りと作品の関係性。いずれのアイデアも、建物から触発され発想されたもので、建物と作品が見る人にどんなことをもたらすか、まだ具体的に作品に落とし込めていない学生もいましたが、爲三郎記念館という場所の面白さを感じさせました。  作品の背景を聞きながら早川さんからは、展示スペースについての詳細な説明や畳に置く場合の処理などお話しいただきました。ときには作品の意図をより生かすため別の場所へ展示した方が良いのではとアドバイスをいただいたり、設置方法についても吊すことや展示台の利用など学生と一緒になって検討したりしました。また、それぞれの作品を設置した場合に作品同士の相性が良いか、別の作品があることでより魅力を高めることができないかなど、展示全体にも広げて考えている様子で、まさしく作家と一緒に展覧会を作っていく学芸員の仕事の一端を見るような講義となりました。学生でも作家としてみなし、作品をより良く見せようという取り組み方には感銘を受けました。学生らにとって、作品を作るだけでなくそれをどう見せるか、プロの学芸員の方と協働することは今後の制作においても貴重な経験になるのではと感じました。  一通りプレゼンテーションを終え問題点を洗い出し、展示の構想がまとまったところで制作に進むことになります。この後、年明けの2023年2月1日に最終のプレゼンテーションを行い、2023年2月の展示となります。

2023.1.28

2022年後期、工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館とコラボプロジェクト開始

2022年後期、工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館とコラボプロジェクト開始  美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)、美術総合コースでは、名古屋市千種区の古川美術館・分館爲三郎記念館と連携、2023年2月14日(火)~26日(日)までの2週間、爲三郎記念館に学生の作品を展示することになりました。前期は、デザイン領域 テキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーデザインコースが古川美術館・分館爲三郎記念館コラボし、ミュージアムショップで販売するグッズのプロデュースを行いました。今回、美術領域では、作品は自由とし、展示場所である数寄屋造りの爲三郎記念館や古川美術館のある池下という町からイメージを膨らませ、作品制作を行います。そのプロジェクトの第1回目として2022年10月20日、古川美術館 館長代理兼事務局長 伊藤洋介氏、学芸員 早川祥子氏にお越しいただき、学生に古川美術館について講義していただきました。  伊藤さんからは、古川美術館の魅力についてお話しいただきました。古川美術館の魅力として、(1)アクセスの良さ、(2)広すぎず心地良く見学できる規模、(3)美術に通じていなくて楽しめる作品解説、(4)数寄屋造りの爲三郎記念館での展示、(5)カフェやショップ、お茶会など美術鑑賞だけにとどまらない美術館の楽しさ、の5つを挙げ、説明していただきました。  早川さんからは、展示会場となる爲三郎記念館(旧古川爲三郎邸)の概要について、や写真を交えて説明いただきました。今回のプロジェクトで作品の展示会場となるのはと。それぞれ、6畳間と8畳間をつないだスペースで(2部屋で合計28畳のスペース)、襖の取り外しも可能とのこと。さまざまなサイズの展示台もあり、これらも活用して作品を考えて欲しいとのことでした。参考に過去の作品展示の例として、部屋をめいっぱい使った米山デザイン領域 メタル&ジュエリーデザインコース教授のインスタレーション作品などが挙げられました(「つむぐけしき よむこころ」米山和子 祖父江加代子)。  質疑応答では、陶芸作品を置く場合に底面の処理をどの程度まで整えればいいか、2023年2月の展示期間の頃庭の植物や木はどんな具合か、中庭を使っての展示も可能か、など具体的な質問が出て展示に対して大いに刺激を受けたようです。  担当する中田ナオト 准教授からは、「名古屋の都心からすぐにもかかわらず、緑が豊かで空気が変わるような、心が安らぐ場所であり、建物の高低差も含め複雑な印象を受けると思う。実際に現場を訪れてそういったところから作品を考えても良いし、伊藤さんのお話にはショップやカフェの魅力についてもありましたが、そういう場所で使える物や商品の提案でも良い。ほかにも美術館の歴史や背景から考えても良いし、所蔵の作品からインスピレーションを受けて創るというのも今回のプロジェクトならではの魅力ではと思う。いくつか切り口があり、いろいろな着眼点から考えて欲しい」と言葉がありました。早川さんからは「前期のプロジェクトでは、学芸員では思いつけない豊かな発想の作品がたくさんあり、とても刺激になり勉強になりました。今回も学生の皆さんの自由な作品をとても楽しみにしています」と期待する声がありました。  今後のスケジュールとしては、展示のアイデア出しを経て2022年11月中にプレゼンテーション、その後制作を行い2023年2月に展示となります。 敷地の見取り図 大桐の間 ひさごの間

2023.1.13

スペースデザインコース、多治見市モザイクタイルミュージアム「ザミュータイルラボ・リレープロジェクト プレ企画展」に出展

スペースデザインコース、多治見モザイクタイルミュージアム「ザミュータイルラボ・リレープロジェクト プレ企画展」に出展  デザイン領域スペースデザインコースでは、多治見モザイクタイルミュージアム(モザミュー)、名城大学理工学部建築学科と連携し、「モザミュータイルラボ・リレープロジェクト プレ企画展」に出展しています。「モザミュータイルラボ・リレープロジェクト」とは、タイルの新たな魅力を模索・展開するため、モザイクタイルミュージアム、タイル産業関係者、大学が連携し、モザイクタイルミュージアム2階の産業振興展示室を刷新していく取り組みで、2023年度から5年間継続して行われる事業です。2023年度最初の参画大学は本学と名城大学であり、そのプレ企画展として作品を制作、2022年11月15日(火)に関係者を招いて作品のお披露目を行いました。  制作は、デザイン領域スペースデザインコース 3年生 小川直輝さん、黒木星冶さん、郡元朱音さん、酒井伸一さん、鈴木栞乃さん、林いちのさん、森晴信さんの7名。プロジェクトは2022年6月にスタート、コンセプトを考え4ヶ月ほどで作品を完成させなければならず、集中して作業を進めました。2022年6月下旬、学生らは多治見を訪れ展示場所を視察、タイルの製造工程や歴史について学び、タイルの素材となる粘土を製造する丸美陶料株式会社、素材の土をタイルに焼き上げる杉浦製陶株式会社、さらにタイルを専門に扱う商社の長江陶業株式会社を見学、作品の構想を練りました。  当初、タイルのノスタルジックな雰囲気と形と色のバリエーションの豊かさなどからかわいらしさを感じ、そこから作品を構想していた学生たちでしたが、産地と工場を見学し、タイルを支えている人の思いや環境について知ることで、タイルの魅力について深く考えるようになり、タイルの成り立ちを考えられるような作品へと構想は変化していきました。タイルは、笠原川周辺の土と水から成り立った産業であることを知り、また、タイルの魅力は施工されできあがった整然とした美しさだけではなく、タイルそのものの手触りや重さ、質感も魅力と捉え、そうしたことが実感としてわかるようにと考え、参加者が実際にタイルに触れる機会を作ろうという考えです。小屋の表面に参加者がタイルを貼るワークショップを開催し、ひとりひとりがタイルの魅力について感じ考えるというアイデアを提案することになりました。展示では、サンプルとしてタイルを貼った小屋を制作し、見てもらうことにしました。  小屋の制作にも工夫があります。小屋は簡単な骨組みで制作、そこへ多治見でいただいた土を壁土として塗ります。左官の技術が必要なため、学生らは左官業者を訪れ、一通り技術の体験・練習して制作に臨みました。作品は、タイルの成り立ちにちなみ土色が徐々に水を表す青色へと変化していくもので、色違いのタイルをグラデーションになるよう貼り付けます。壁土に近い部分では素焼きのタイルが用いられていますが、タイルの製造では素焼きにする工程はなく釉薬を塗って焼き上げるため、釉薬を塗布する前のものをいただきセラミック工房で焼き上げて専用のタイルを制作するなど凝ったものです。できあがった小屋は高さ2mあまり。小屋とはいえ、大きさも重量も迫力のある作品となりました。展示のためモザイクタイルミュージアムへ運び込んだところ、学芸員の村山閑さんからも思わず「わっ、大きい!」と声が上がるほどの作品となりました。  プレゼンテーションは郡元朱音さんが中心となって行いました。自分たちが経験して感じたタイルの魅力を説明し、その経緯を作品に落とし込んだことを丁寧に話しました。「今では、携わった学生ひとりひとりがそれぞれのタイルの魅力について言えるようになりました」という言葉が印象的で、参加した関係者からも、インパクトを受けたという声が聞かれました。質疑応答では、ぜひそれぞれが感じた魅力を聞かせて欲しいという質問があり、「形や色の面白さは当然ですが、自分で貼ることができるということは新鮮な驚きでした。やっていいんだと自由を感じしました」(郡元さん)、「タイルを施工することには手間がかかりますが、手間をかけることで工夫がはじまり思考が深まりました。手間がかかること自体に魅力を感じました」(鈴木さん)、「単純ですがかわいい、手触りが良く握ったときの感触や重さに愛着が湧きます。貼ってある完成品だけではわからなかった魅力です」(林さん)とそれぞれに感じた魅力を説明しました。  プレゼンを聞いた、水野雅樹代表理事は「自分が業界に入った頃、同じような感想を持ちました。懐かしさと同時に同じように感じてくれたこと驚き、また、嬉しく感じます」と感想を述べました。プレゼンが終わった後、交流会が行われ、学生らにはたくさんの言葉が寄せられました。BtoBばかり考えて最終のお客さんを見ていなかった、学生さんの提案を参考に考えたい、などの言葉や、ぜひワークショップを実現して欲しい、うちでもやりたい、といった嬉しい感想もいただきました。 「モザミュータイルラボ・リレープロジェクト プレ企画展」の展示は、2023年1月29日(日)まで行われます。ぜひご覧下さい。 現地視察 展示オブジェ制作 搬入・プレゼンテーション 現地視察 多治見モザイクタイルミュージアム 丸美陶料株式会社 杉浦製陶株式会社 長江陶業株式会社 展示オブジェ制作 搬入・プレゼンテーション

2022.9.6

2022年前期「デザインプロデュース」「地域プロジェクト」古川美術館・分館爲三郎記念館ミュージアムグッズを展示

 「今回のお話は、昨年の『KOUGEI EXPO IN AICHI』を拝見し、学生さんたちの作品を観たところから始まりました。その後、卒業制作展にお伺いして米山先生、扇先生に案内していただき、そうした交流を続ける中で米山先生から古川美術館で学生がなにかできるようなことがあればと、お声がけをいただきました。ちょうど美術館としても愛知県下の芸大と係わっていきたいと模索していたこともあり、今回の『デザインプロデュース』をご提案はいいタイミングでした。  作品ができあがってみると、それぞれにバラエティに富み、古川美術館・爲三郎記念館にこんなにも色々なイメージがあったんだと、とても新鮮に感じています。私たち学芸員にとっては日常となっている場所ですが、初めて来た学生、とりわけ異なった文化を持つ留学生の人たちからの視点の新鮮さが印象的です。キャラクターの作品では、これほどたくさんの種類、しかも思いもよらない視点があり、なるほどと感心させられました。自分たちでは気が付かなかった色々な魅力を引き出す扉はまだいっぱいあったんだと気付かされた思いです。  個人的には、ムジュムジュ様がお気に入りです。「夢寿夢寿(むじゅむじゅ)」というあんこを黒砂糖の羊羹で包んだ爲三郎記念館オリジナルの和菓子があるのですが、そのお菓子が精霊になった、という設定でキャラクターになっています。お菓子のとおり丸くて黒いキャラクターですが、そこに個性があふれていて面白いと思いました。お菓子がキャラクターになることや性別もあいまいで抽象的ですが愛着がわきます。これまで美術館ではキャラクターなどを作っていませんでしたが、今後、ワークショップなどで子どもの案内役にも活躍できるのではないかと考えています。じつは、このチームの学生さんたちが美術館へ来て、こういうキャラクターは受け入れられるか聞きに来てくれました。半信半疑だったと思いますが、否定してしまうと何も産まれないので、そのまま突き進んでもらいたいなと考えましたが、良い結果になったと思います。」  「今回の授業では、中間と最終の2回のプレゼンテーションがありましたが、中間プレゼンテーションのときに『今の学生の皆がいいと思うキャラクターを提案してくださっていますが、それが10年後またこの美術館に来てくれたときにいいなと思えるようなものであれば、とてもありがたいです』という言葉をいただきました。今新鮮に感じるアイデアと長い時間に耐える普遍性、この2つの要素をもう一度考えることになり、学生にとって勉強になったと思います。バランスを取ることが難しく、チームによって考え方も分かれました。中には、採用されなくても自分たちで納得のいくものを提案しようと考えるチームもあり、作品がより深いものになったように思います。また、デザインという領域は、採用されたものだけが表に出て、採用されなかったものは表に出てきません。今回、すべてのプロセスを展示してもらえたことが学生にとっては本当に良い経験になったと思います。展示の話を聞いて学生のモチベーションも大きく上がりました。一般の方々からご意見をいただけることも貴重です。」  「デザインプロデュース」の授業は今回で4年目になります。今年は大学院の「地域プロジェクト」と合同授業の年でもあり、授業登録者数が48名と今までで最多となりました。学生に受講理由を聞くと、『美術館との関わりに興味がある』『自分のデザインがミュージアムグッズになる可能性がある』などで、芸術大学が美術館と協働プロジェクトを行う有効性を感じました。デザイン領域の学生だけではなく、美術領域の学生、留学生も多数受講したので、バックグラウンドが異なる学生たちのグループによる多様性のあるプレゼンテーションになりました。今後も社会と学生が関わる場を作ることが出来ればと思います。」 2022年前期「デザインプロデュース」「地域プロジェクト」 古川美術館・分館爲三郎記念館ミュージアムグッズを展示  デザイン領域 テキスタイルデザインコース 扇千花 教授とメタル&ジュエリーデザインコース 米山和子 教授による「デザインプロデュース」では、名古屋市千種区の古川美術館・分館爲三郎記念館のミュージアムショップで販売するグッズのプロデュースに取り組んできました。2022年7月20日に最終プレゼンテーションを終え、前期の講義は終了となりましたが、バラエティに富むアイデアをこのまま埋もれさせてしまうのは惜しいと、美術館のご厚意で、提案したアイデアを記したボードと試作品を2022年8月17日(水)~28日(日)の期間、爲三郎記念館にて開催された企画展「新発見 数寄屋の魅力」に合わせて展示していただきました。また、一部の作品はキーホルダーやシールとしてすでに商品化、実際にミュージアムショップで販売されています。  今回の展示とデザインプロデュースについて、古川美術館 学芸員 早川祥子さんにお話を伺いました。 古川美術館 学芸員 早川祥子さん(左)/メタル&ジュエリーデザインコース 米山和子教授(右)  担当教授からは、以下の感想をいただきました。 米山和子教授 扇千花教授  今回の成果として具体的な活用や商品化についてお伺いすると、「ネイルシールは、プレゼンのときから商品化できるという点で一番現実性が高かった作品です。それからコースターですが、すでに茶道体験で使わせていただいています。使い方に合わせてスタンプ帳にするなど内容をブラッシュアップして作っていただきました。今回、制作コストを考えてもらうなど、自分の作りたいものを作るという普段の課題とはまったく違う作業だったのではないかと思いますが、学生さんたちに色々と考えてもらえて良かったです。展示も含め、いい形で終えることができて、学芸員としてとても嬉しく思います」(早川さん)。  「デジタルツールが使いこなせることが学生の強みでもあります。工房で、使い方に合わせたものをすぐに制作していました。価格に関しても、学生にとって良い経験になったと思います。シビアな実践の場ですね。現実はそうなんだと少しわかったのではないかと思います。今後は、工芸分野で商品の提案ができるように考えていきたいと思います」(米山教授)。  展示は、早川さんをはじめ学芸員の皆さまによるもの。数寄屋造りの建築と相まって、作品の完成度が増したように感じます。展示は2022年8月28日で終了となりますが、キャラクターグッズのミュージアムショップでの販売は続きます。ぜひ、お立ち寄りください。 「デザインプロデュース」「地域プロジェクト」の過程はこちら

2022.8.25

いちのみや芸術商店街 美術領域工芸コース、メタル&ジュエリーデザインコース 作品展示 高校生とのコラボ BOXアート展示、作品の販売も

いちのみや芸術商店街 美術領域工芸コース、メタル&ジュエリーデザインコース 作品展示 高校生とのコラボ BOXアート展示、作品の販売も  に合わせて、会場の一つとなっている一宮市では、さまざまなイベントや企画展が開催されます。本学の美術、デザイン、音楽の各領域も、パートナーシップ事業である「いちのみや芸術商店街」の企画・運営に参加、作品の展示と演奏会を行います。美術領域工芸コースとメタル&ジュエリーデザインコースは2022年8月9日(火)〜11日(木・祝)に一宮本町商店街のアーケードとその周辺に作品を設置しました。 国際芸術祭「あいち2022」 I・T・Kビルでは「BOXアート」を展示  「BOXアート」は、本学で一宮市の高校生を対象としたワークショップで制作されました。30センチ角の木箱に尾州織物の廃材等を用いて作られ、本学の111名の学生も「BOXアート」を制作しました。木箱のひとつひとつには作った人の内面や空想などが表現されており、個性が際立ち見応えのあるものになりました。一宮駅近くのI・T・Kビルでは、完成した約200個もの木箱を組み合わせ、ひとつの展示となっています。制作に参加した木曽川高校の生徒からは、「作っていて楽しかった」、「芸大生の作品と並べると見劣りするのではと思いましたが全体で見ると統一感があって安心しました」などの声が聞かれました。 会期前日には関係者を招いてI・T・Kビルで内覧会が開催  中野正康 一宮市長、一宮本町商店街振興組合代表、銀座通商店街振興組合代表ら、関係者を招いて内覧会が開催され、本学からは米山和子 教授、中田ナオト 准教授が出席しました。中野市長は会場に集まった関係者や学生達を前に、これまでの努力に謝意を述べ「多くの分野の方のお力添えをいただきまして「いちのみや芸術商店街」の企画をスタートできることを楽しみにしています」と挨拶されました。 美術領域工芸コースとメタル&ジュエリーデザインコースが作品を設置  2022年8月11日(木)には、メタル&ジュエリーデザインコース、美術領域工芸コース(陶芸・ガラス)の学生が、一宮駅から一宮本町商店街の思い思いの場所に作品を設置しました。あらかじめ学内で制作された作品を運び込み設置するものもあれば、その場でシャッターに絵を描くなど作品もそれぞれ。炎天下の中、準備を行いました。大きなものでは、銀座通りのロータリーに設置した陶の作品や高さ2mを優に超える金属作品など、小さなものでは電力メーターのボックスの中にあるミニチュア作品といったものもあり、商店街を歩きながら作品を探す楽しみもあります。設置に際して、展示場所を提供してくださったお店の方々にもご協力いただき、学生との交流も生まれ、そのこと自体とても意味のある展示となりました。お店の方々をはじめ、設置の様子を眺める近隣の方々や、あいち2022に訪れた方からも声をかけられたり写真を撮られたりと、注目度の高さもまずまず。一般の方から作品について感想をいただけるのもこうした野外展示の魅力であり、非常に良い経験になるのではないかと思われます。 一宮駅前のアパホテルでも卒業生を中心に作品を展示、販売  一宮駅前のアパホテル(尾張一宮駅前)ロビー、レストラン「アンシエーヌ」では、印刷表現を拡める活動をする「Print for Sale」が、卒業生と学生の作品を展示、販売しています。ロビーでは、グッズやヴィジュアルデザインコースの学生によるTシャツを販売、レストランでは版画作品、ファブリックパネルを展示しています。  国際芸術祭「あいち2022」パートナーシップ事業の「いちのみや芸術商店街」にはこのほか、テキスタイルデザインコースの展示、また、10月には音楽領域の演奏会と盛りだくさんの内容です。一宮へお越しの際には、ぜひお立ち寄りください。

2022.8.8

テキスタイルデザインコース いちのみや芸術商店街 尾州織物の廃棄素材を使った作品を展示

 川邊さんの作品には、コラージュのほか2年生ではまだ授業で行っていない染めの技術も用いられています。「染めは3年生の授業でやるのですが、今回やってみたくて先生にやり方を聞きながら制作しました。思っていたよりも制作に時間がかかり、学校に遅くまで残ってなんとか仕上げることができました」。  3年生の藤川さんは、裏面にも対になるデザインを考案したものの上手くいかなかったのだとか。「裏にも端耳を付けようと思いやってみましたが、ミシンに糸が絡んで上手くいかず断念しました。やはり制作に時間がかかり、大きな袋に詰めて持って帰り自宅でも作業しました。模様は付けられませんでしたが裏面には縫い目が出ています。きれいに仕上がっているので裏も観て欲しいですね」。  4年生の江口さんの作品は端耳をたくさん使い印象的な模様を描き出しています。「模様からウールの良さが見てもらえればいいなと思います。卒業制作もあるので時間を決めて効率的にやろうと努力しました。朝早いうちに学校へ来て、ミシンが空いてる午前中に集中して作業しました」と3者それぞれに工夫を凝らし制作したことが作品からも伝わってきます。 テキスタイルデザインコース いちのみや芸術商店街 尾州織物の廃棄素材を使った作品を展示  に合わせて、会場の一つとなっている一宮市では、連携事業としてさまざまなイベントや企画展が開催されます。本学の美術、デザイン、音楽の各領域も、パートナーシップ事業の「いちのみや芸術商店街」に参加、作品の展示と演奏会を行います。テキスタイルデザインコースは、一宮本町商店街のアーケードに尾州織物の廃棄素材を使った作品を40点展示、2022年8月2日(火)に設営を行いました。 国際芸術祭「あいち2022」  作品名は「祈織(いのり)」。一宮本町商店街は、真清田神社の門前町として栄える商店街で、盛大な七夕の飾りで知られています。祈織(いのり)と命名したのは3年生の水野那美さん。織物の神様を祀る真清田神社の七夕飾りに因み、織物産業の発展とこれまで受け継がれてきた伝統が続くことへの「祈」りを作品に「織」り込むということを表します。作品は、学生がそれぞれ、尾州織物の廃棄素材である端耳をもらい受け、布にコラージュする形で制作されています。モチーフとしては、星や天の川、短冊など七夕飾りを連想させるものも観られます。いずれの作品もフワフワとした尾州の毛織物の柔らかさが印象的です。扇千花教授によれば、制作時期、尾州では秋冬物の生地を織っているタイミングで、端耳も落ち着いた色調になっているとのこと。学生らは、ベースとなる布とこれらの端耳を上手く組み合わせ、カラフルな作品を作り上げています。  アーケードの中心部、ドームになった部分には、1.5m×4mの一際大きな8枚の作品が飾られています。このうちの3作品を制作した、2年 川邊ななさん、3年 藤川裕樹さん、4年 江口桃世さん、にお話を伺いました。 川邊さんの作品 藤川さんの作品 江口さんの作品  すでにテキスタイルデザインコースの作品はいつでも見られますが、この後、メタル&ジュエリーデザインコース、美術領域工芸コース(陶芸・ガラス)の作品も商店街周辺に設置され、本学学生の作品が一宮の街を彩ります。また、一宮駅近くのI・T・Kビルでは、本学と一宮市の高校生、中学生、小学生とコラボレートし制作した作品を展示。本学卒業生の作家が中心となって展示を行うPrint for Saleも一宮駅アパホテルにて開催されます。期間は2022年8月10日(水)~10月10日(月)(I・T・Kビルは月曜休)、国際芸術祭「あいち2022」と合わせ、ぜひご覧下さい。

2022.8.4

2022年前期「デザインプロデュース」「地域プロジェクト」古川美術館・分館爲三郎記念館ミュージアムショップ事業 ミュージアムグッズの提案

2022年前期「デザインプロデュース」「地域プロジェクト」 古川美術館・分館爲三郎記念館ミュージアムショップ事業 ミュージアムグッズの提案 中間発表会 最終プレゼンテーション  デザイン領域 テキスタイルデザインコース 扇千花 教授とメタル&ジュエリーデザインコース 米山和子 教授による「デザインプロデュース」「地域プロジェクト」は、デザイン・美術を工芸の観点から地域の産業と人をつなげ生活を豊かにするものを考え制作するという講義で、名古屋市千種区の古川美術館・分館爲三郎記念館のミュージアムショップで販売するグッズのデザインプロデュースを行います。  2022年4月に、学生らは古川美術館を訪れ、美術館の成り立ちや古川爲三郎氏についての知識を深め、実際にミュージアムショップで販売されているグッズなどを見学しました。それらに基づいてアイデアをまとめサンプル品を制作、6月に古川美術館を運営する公益財団法人 古川知足会の皆様をお招きし中間発表会を行いました。学生たちのバラエティ豊かなアイデアやデザインを高く評価していただきましたが、実際に商品を販売しているプロの視点から、コスト面、安全性、流行の変遷、意匠の問題といった観点から継続可能か、という問いかけがあり、結果として制作費用の明確化と想定する販売価格と合わない場合はコストカットのアイデアが課題として残りました。また、販売期間においても、常設するものに加え期間限定で販売することも選択肢としてあり、それらのアイデア出しも課題となりました。  これらを受けてアイデアをブラッシュアップ、2022年7月20日、いよいよ最終のプレゼンテーションが行われました。今回は、古川美術館・分館爲三記念館の学芸員の方々に加え館長代理兼事務局長 伊藤洋介氏にもお越しいただき、一層、熱の入ったものになりました。  学生らは9つのチームに分かれ、制作したサンプルをお見せしながら、スライドやボードを使い自分たちの企画を説明しました。この授業は、領域に関係なく履修できるものであり、チームにはさまざまなコースの学生、大学院生、留学生と専門や立場が異なる学生が含まれており、それぞれが得意分野で貢献しているようで、成果物としてもグッズはもちろん、パンフレット、チケット、包装パッケージなど、いろいろなところで活用できるロゴマークやキャラクターのデザインといったような幅広いアイデアが提案されました。グッズに関しても、焼き物をベースにした工芸的なものから、キャラクターを活用したキーホルダーや缶バッジ、トートバッグ、さらに古川美術館の収蔵品をモチーフにしたネイルシールなど、幅広いサンプルが制作されました。学生らは、中間発表で指摘を受けた製造原価についても考慮し、中には複数の製造メーカーに相見積もりを依頼しその結果を資料に盛り込むチームもあり、そのまま企業の企画会議になりそうな非常に実践的なプレゼンテーションとなりました。製造原価や販売価格など、これまで携わったことのない分野への考慮も必要になり、苦心したことが伝わります。  結果としては、パンフレットなど現在も使われているものに置き換えるものや、チケットなど使用に関して役割があるものなどは調整が必要で直ちに採用することは難しいものの、限定商品やこれまで扱っていなかった商品は前向きに検討したいとの評価がありました。ことに、美術作品をモチーフとしたネイルシールと数寄屋造りの建築からかたどられた陶磁器の作品は、価格の設定を含め高い評価をいただきました。  伊藤氏からは「熱の入ったプレゼンテーションをしていただき、また、こうした機会をいただいたことに感謝申し上げます。学生の皆さんには、売り込むことの大切さを感じていただけたのではないかと思います。皆さん非常によくできていたと思います。難しい課題だったと思いますが、とてもよく頑張ってくれたチャレンジ精神を嬉しく思います」と評価いただきました。  当初、採用作品を古川美術館に展示することが考えられていましたが、バラエティに富むアイデアがあり、このままでは惜しいとの声もあり、嬉しいことにすべてのチームのプロセスボード、試作品を、8月17日(水)~28日(日)に開催する為三郎記念館 特別展示 「新発見 数寄屋の魅力」に併せて展示していただけることになりました。 特別展示については、古川美術館ホームページをご覧ください(画像をクリック)  デザインプロデュースの成果を、古川美術館・分館爲三記念館にて、ぜひご覧下さい。また、実現可能なものをぜひ商品化したいとの要望もあり、古川知足会でさらに検討することになりました。商品化も含め、非常に楽しみな講義となりました。 中間発表会(2022年6月15日) 最終プレゼンテーション(2022年7月20日)

2022.5.26

工芸分野、一宮市と連携、街をアートで彩るプロジェクト始動

工芸分野、一宮市と連携、街をアートで彩るプロジェクト始動  本学、美術領域工芸コース(陶芸・ガラス)、デザイン領域メタル&ジュエリーデザインコース、テキスタイルデザインコースでは、一宮市と連携し、2022年7月30日から行われる「国際芸術祭『あいち2022』」にあわせ、一宮市銀座通商店街、一宮市本町商店街、一宮駅前のI.T.K.ビルに、本学学生、一宮市内の高校美術部生徒らの作品を設置、『あいち2022』を盛り上げる連携企画を行います。2022年5月7日、その手始めとして、学生らが一宮の街を訪れ、商店街、真清田神社などを視察、作品を設置する場所を探しました。  「新しい日常風景」をテーマに、『いちのみや芸術商店街』と称し、一宮駅前から銀座通りを経て、アーケードのある本町商店街を抜けて真清田神社までの公共スペースや店舗に作品を設置します。公共スペースとしては、往来の邪魔にならない歩道、植え込みなどのスペースならば一宮市の許可が得られていて設置可能、店舗など私有地の場合は、学生がそれぞれ店舗などと交渉して設置することになります。この日は、良さそうな場所を探し、工芸コース、メタル&ジュエリーデザインコースの学生が参加、メタル&ジュエリーデザインコース 米山和子 教授、瀬田哲司 准教授、工芸コース 中田ナオト 准教授の説明を聞きながら、一宮の街を散策しました。  本学の工芸分野としては、工芸コース、メタル&ジュエリーデザインコースのほかにテキスタイルデザインコースがありますが、テキスタイルデザインコースは一宮市の尾州毛織物産地の産業廃棄物を使用した共同作品を本町商店街のアーケードの中心に設置するため、準備の都合で4月26日に見学を行いました。  駅前をスタートし、歩きながら設置スペースを検討します。商店街では、繊維の街である一宮らしさを感じる布や糸を扱う店が数多くあり、レトロな看板やロゴタイプなど風情を感じます。気になる場所に想定する作品が置けるかどうか、実際にスペースを確認しながら歩きます。商店では、お店の人に声をかけお話を伺ったりしながら真清田神社まで歩きました。  真清田神社の門前には、境内にある「服織神社」にあやかり、糸や雑貨を扱う小さなお店があり、お店を観察したりお話を聞いたり、大いに刺激をいただきました。本町商店街では、中田ナオト先生が学生時代に同じように一宮の街にアート作品を展示する企画で作品を置いた場所も紹介。感慨にふける一幕もありました。  最後に駅前のI.T.K.ビルに集合、休日で中には入れないものの場所を確認しました。I.T.K.ビルでは、高大連携として一宮の高校生とコラボレーションで制作するボックスアート(30cm×30cm×30cm程度の箱の中に作品を制作、本学に高校生を招き制作予定)を展示する会場となります。実際に会場となる場所を確認し、学生らは制作への気持ちを高めていました。  現段階ではプロジェクト名や展示期間など未決定ではありますが、作品制作過程も含め、順次お伝えすることになります。ご期待下さい。 「国際芸術祭『あいち2022』」ホームページ